金言484:悪い人と知りながら、リスクをとってハイリターンを狙う人たち
ある年のこと。東証一部上場の情報処理企業を商社系の同業者がTOBをするという新聞
観測報道がありました。TOBされる会社の株価は当日大きく上昇し、終値は393円でした。一夜あけた金曜日、前日393円で引けた会社の株は、何とストップ安となりました。買い手不在の売り気配でした。理由はTOB価格が203円だったからです。
例外はあるでしょうが、投資家のコンセンサスとして、TOB価格設定のお約束は、時価にプレミアムのおまけがついた価格になっていましたので、予想外のネガティブサプライズでした。
多くの場合TOBを発表すると株価は上昇します、それが今度ばかりは当てがはずれました。木曜に買った個人投資家は、買った翌日の金曜から損切りをせまられました。評価額は一日で20%減です。
そして不思議なのは、株価は上がるというお約束にもかかわらず上昇中に大量に売った人たちがいたことです。この人たちは、返済買いで1株あたり最大190円の含み益を手にしたはずです(393円-203円=190円)。
もうひとつ腑に落ちないのは、1株393円に上昇した会社は、創業者から野村証券出身者が経営を継承した会社であったことです。創業者が作り上げたソフトウェア会社をこの人たちは、得意の金融・不動産部門に事業の柱を移し、その結果80%の資産を失いました。今回、自力再建を諦めての経営統合というのが投資家向け広報の内容であったはずですが、やはり本業のマネーゲームをしかけたのかもしれません。
個人投資家は個人の好みでこのゲームに参加するかどうかを決めます。悪い人と知りつつ、リスクをとってハイリターンを狙う人たちもいることでしょう。
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