金言240:夢の代価
1)代価
広辞苑によると、代価とは「困難なことを達成するために生じる犠牲や損害」です。
商売は、商品を仕入れて他者に売り、投資した資金を回収し、差額=利益を得ることが基本の流れです。この流れを太くしたり、早くしたり、深くしたりするためには、いろいろな仕掛けと工夫が必要となります。株の信用取引では、売りからはいり、買い戻して取引が完結する手法がありますが、この場合でも、まず証拠金の差し入れが求められます。利益(リターン)を得るためには、元手(リスク)が必要、代価を免れることはできません。
事業を展開するには、先行投資が必要です。同様に、個人が自己啓発するのにも、費用がかかります。書籍を購入し、有料セミナーに参加し、自ら時間と金を投入して設定した目標の達成を目指します。(目標を設定するために費用がかかるかもしれません)つまり、代価を払います。
2)夢を見る代価
巨人軍の監督を1年ほど務めた元投手の某氏は、「夢は見るもの、目標は達成するもの」といいましたが、だれかに頼って夢を見る場合には、そのだれかに代価を要求されます。夢を実現してくれそうな強い意思を持つリーダーのそばにいて、分け前を期待する場合は、リーダーの持つ弱みをカバーする強み(特技、体力、忍耐力)をもっていれば、仲間に加えてもらえます。
夢を実現してくれるリーダーが、豊富な資金をもっているか、あるいは身銭を切らないですむような恵まれた環境で活動している場合は、チルドレンは金銭的な負担はしないですみます。会社にたくさんの利益をもたらすリーダー(カネを稼ぐリーダー)は、会社のカネをたくさん使う従業員でもあります。チルドレンは、夢を見る代価を、金銭のかわりに忠誠心と忍耐で支払うことになります。
3)夢を共有する代価
一方、十分な資金をもたないリーダーに夢を託すと、手弁当でもちだしになるおそれがあります。他力本願では夢を見ることはできません。金銭的負担のないチルドレンではなく、夢を共有する仲間として扱われ、さらにランニングコストの分担が求められます。共通の夢のために互いに身銭を切っているので、実現に時間がかかると、金の切れ目が縁の切れ目になるリスクがあります。
リーダーには、金銭面での恩恵を受けていないので、結果を出すのに時間がかかるとリーダーの魅力がなくなり、事業が債務超過になると損切り・解散の可能性が増加します。
4)助手席のリスク
資金面での心配がないリーダーと資金をもたないリーダー。いずれのリーダーにしても、この人たちに自分の夢を託すという選択をした場合、夢の代価はしっかりと請求されます。この代価を払いながら、毎日、至近距離での戦いに巻き込まれます。ビジネスのシーンではソーシャルディスタンスもバブルも特例もありません。そして、体力を消耗して戦いを諦めたとき、負けとなります。
自動車事故のとき、助手席が一番危険なのは、ドライバーが自分の安全を本能的に最優先するからかもしれません。ビジネスでも、まさかのときは、ドライバーすなわち経営者よりも、助手席の従業員の方がハイリスクと心配します。
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