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金言530:安心安全神話と価格競争力

10年ほど前、中国産毒入り餃子が話題になりましたが、風評の被害はすっかり消えているようです。中国農村でふんだんに使用される農薬は水洗いすれば除染されますが、福島原発周辺の野菜はそうはいきません。3.11から中国と日本の農作物の安全神話が入れ替わりました。

中国製品がまだ日本に浸透していない頃は、粗悪なモノはアメリカ製というのが定説でした。当時、ファッションの世界では、若者が米国製の野球帽を好みました。米国製か日本製かの見分け方は簡単でした。縫い目がまっすぐとか細かいとか仕上げが丁寧とかいうのが日本製で、そうでないのが本物の米国製というものでした。現在ではユニクロなどの登場で、メイドインチャイナのテキスタイルの品質は日本製と同等またはそれ以上にまで高まり、安価な良品が市場にでまわっています。

30年前は、日本人が要求する品質は、価格とは必ずしも連動していませんでした。安い商品にも高い品質が要求されました。それなりの価格だからそれなりの品質でいいという100円ショップの消費者マインドはまだ存在していませんでした。そのため、日本向けには、検品作業を増やすことになり、製造者は検品コストの上乗せを要求しました。
当時、アジア工場との取引における商習慣として、低価格の製造委託契約の付帯条件としてたとえば4%の不良品発生率は許容範囲と明記されていました。そのため、日本の輸入・販売元は出荷前に自前で再検品し、小売店からの不良品の返品を無条件で受け入れていました。その不良品発生率が輸入量の4%を超えないかぎり、海外の製造元へのクレームは門前払いでした。

スポーツシューズの例:
注文数量に多少不足した場合、工場はB級品やサイズ違い、さらには片方の靴だけを2個いれたりなどして、間に合わせていました。(4%の範囲内です)
現在は、様相が変わり、海外工場では、徹底した品質管理を実施し、不良品発生率を低くすることによりコスト削減をはかっています。製造工程に無駄がないから製造コストが削減され、先進的な工場、最適な生産計画、合理的な流通のしくみによって価格競争力がうまれています。
毎日最新の製品を大量に製造しているので作業員は熟練作業員となっています、これでは日本の下町工場は大量に良品廉価品を製造できる海外工場に勝てません。

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平史理 taira fumitoshi
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