バブルの頃#139:自分なりの2度目のバブル崩壊
展望が切り開けなくなった時点で、内容が薄くなっていることがわかりましたので、本編をそろそろ切り上げて、次のテーマを進めてまいります。シーズン4は、ITバブル期のソフトウェア会社に転職した経緯と異業種での新たな出会いを中心にした内容に変わっていきます。
7月8日
最後の挑戦この2~3日、睡眠不足。何か今よりましな仕事ができないものかと考えている。現状を変えなければ時間の無駄遣いだ。今の状況で経営者と折り合っていくことは不可能ではない。しかし、反面失うものがある。自分の誇りと意地を捨ててしまうことになる。詐欺師でさえ、名を惜しむのだから、これはしたくない。たとえ次の立場が悪くても軽く見られても我慢するような、情けないサラリーマンにはなりたくない。
7月15日
辞表提出
家庭に問題があるのではないかと経営者Mがいう。問題を抱えているのはMの方だ。展望の開けない会社にいて何になる。事務所を暗くしている張本人だ。社員に後ろ指を指されているのが気付かないのかという。お互いさまだ。辞めた人間をここに集めたら袋叩きにあうだろうという。リストラの助言はしたが、人事権を発動したのはMだ。4年間で7人が会社を去り5人が加わった。アルバイトは年間30人が入れ替わった。社員の欠点ばかりを報告してきたという。そのとおりだ、長所を報告して喜ぶMではなかった。自分のミスは隠し他人の批判ばかりしてきたという。Mの嗜好にあわせ改善点を指摘してきたのだ。二代目の実兄のパワーゲームに踊らされていることにMは気が付かなかった。
天気がよくて売上が上がれば、天気のおかげだという。天気が悪くて売上が減れば、努力が足りないという。4年間、5億円の年商が一度も前年を上回ることがなかった。バブル崩壊の後遺症がまだ残る。
ずいぶん回り道をした。この4年間はバブル崩壊の後遺症を治すためのリハビリ期間であった。ドイツでの5年間は欧米のビジネスエリートたちに翻弄された。次のこの4年、居心地が悪くなかったブルーオーシャンで蓄積してきたキャリアと時間を浪費してしまった。焦りを感じながら、次のステージに望みを賭けた。
お礼
シーズン3は、90年代前半のバブル崩壊後の4年間をテーマにしてきました。次のバブルを期待した「世界都市博覧会」にむけてインフラの整備をしている前半と、中止になったことでビジネスがシュリンクしていく後半に分けて展開していくつもりでしたが、ビジネスがシュリンクしていく状況はあまり魅力がないことがわかりましたので、きりあげさせていただきました。
次回からシーズン4です。
内容は、異業種での挑戦というよりは、まったく違う文化と行動パターンをもった人たちを紹介していきます。システムズエンジニアと呼ばれる高度情報技術者集団の中で出会った人たちの否定的な部分にはなるべく触れず、肯定的な側面に注目してまいります。
この匠の集団の企みが必ずや日本を救うであろうというITバブル期のひとこまです。
これまでお付き合いいただきありがとうございました。ひきつづき、よろしくお願い申しあげます。