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ため息363:うすはり

「うすはり」というグラスを買いました。電球の球を吹いていた職人の技で作った0.9ミリという薄手のグラスです。@1500円程度なのでクリスタルの食器ほど高くはありません。

このグラスを手にするのは2度目です。1度目は、1987年の冬に道頓堀にあった(今でもあるかもしれませんが)一軒家のすき焼き専門料理屋で、ビールを飲んだときでした。軽くて薄いので手にしたときにプラスティックだと思いました。なにしろ店構えは、仕舞屋(しもたや)風で、2畳ほどのこあがりがいくつかあるだけの小さな店でしたので、安い什器を使っていると勘違いしました。デザートにメロンを頼んだら、1人前3000円といわれたので、あらためてグラスを指ではじいてみたらガラス製であることに気が付きました。3人で6万円ほど支払ったので、今でも覚えています。バブル崩壊後、そのような贅沢な店に行く機会がなくなり、このグラスのことは忘れていました。

朝7時前から夜中の11時過ぎまで、週6日以上何かに憑かれたように勤め人生活をしていた当時、一度だけ手にしたグラスでした。車のセールスマン、証券マンや商社マンが肩で風を切っていた時代に出合った非常に薄口のコップです。

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平史理 taira fumitoshi
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