ため息303:混雑した電車に棲む魔物
朝のラッシュ時の地下鉄車内で、「渋谷のヤマンバ」の現在の姿かと思われるようなご婦人が、甲高い声を発しました。どうやら、中高年の紳士が足を踏んだようです。ご婦人が悲鳴をあげ、そのあと「謝れ」と叫んだのですが、この紳士は「混んでいる車内で、・・・」ということで無視しました。そこで、このご婦人は次の駅で降りて駅員に通報しました。
ここから意外な話になりました。通報を受けた駅員は、通勤車両を緊急停止し、社内に乗り込んできました。そして「ご婦人が暴行を受けたと訴えている」といって、足を踏んだ紳士を降ろし、電車を発車させました。発車した途端、「ただ今の停車は、お客さま同士のトラブルでした」というような社内放送が流れました。
電車が一時停車したことの迷惑感よりも、巻き込まれた紳士の災難を思うとご婦人の行動が恐ろしくなりました。「怖いですね」
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