金言314:素人感覚
裁判員制度は、市民が刑事事件に参加して、裁判官と一緒に、有罪・無罪を判断し、有罪の場合には、言い渡す刑まで判断する制度です。裁判のプロと素人である市民の常識との違いがわかってきました。
「計画的なら量刑を重く、偶発的なら軽くする」刑事裁判の常識が、市民に通用しない恐れがあります。ある模擬裁判で、「カッとしての犯行ならまたやるはず」ということで、「計画性がないなら再犯の恐れも強い」として重い刑を市民が選びました。
刑事事件に市民感覚を取り入れることを目的とする裁判員制度には、裁判のプロには理解できない素人感覚との落差がありそうです。こういうことは、日常業務では、よく経験することです。
1)芸術文化の世界での落差
前衛的な芸術は、素人には理解されない、理解されないことが前衛的なのだと前衛的アーティストがいいます。そうかもしれません。しかし、凡人の素人は、理解できないので前衛的な芸術に感動しません。
2)広告表現
プロが提案した広告表現(デザインやコピー)を、クライアント側はその職場にいる従業員=広告表現分野の素人に感想を求め多数決で評価しようとすることがあります。プロの表現方法には、素人のクライアントが受け入れやすい無難なものと、少し前衛的な仕掛けをしてリスク負担を求めるものがあります。クオリティやインパクトの面では、前衛的なほうが当たればサプライズになるのですが、外れるリスクがあります。そのリスクをとりたくないクライアントは、無難な表現で穏便に処理します。
3)余談
時々、何でコンナコマーシャルを流すのか理解できないCMを見ることがあります。これは、クライアントがリスクをとったのではなくて、制作会社に騙された結果だと想像します。
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