バブルの頃#184:英語の電話
ITバブルの頃は社員を名指しする英語の電話がよくかかってきました。
受け手は、業務に必要な英語の読み書きはできるが、話す機会はほとんどない人たち(営業、技術)です。話すとしたら、たまたま同席した飲み屋のオネーチャンが出稼ぎ外国人という場面ぐらいです。その際の会話は昼間ビジネスで使えそうなものはほとんどありません。(こういう場所で会社払いの授業料をたくさん使っている幹部社員がどの会社にもいそうですが、この人たちは、外国企業とのアライアンスの会議で英語を使うときは、気をつけなければいけません。金髪オネーチャンたちがつかう特別な単語を不用意に出すと、ネイティブの連中に気づかれます。)
そういう技術者が多いなかで、丹念にじゅうたん爆撃で一本釣りを仕掛けてくる外資系人材斡旋会社がいくつかありました。どうも渡されたリストにある番号に電話をかけるのが、まずルーティンワークのようでした。ネイティブが普通のスピードで話しかけ、それを理解、反応しない相手をリストから削除していく作業が大半だと想像されます。このリストは、セミナーやフォーラムなどのブースでパンフレットやノベルティをもらうために渡した名刺が情報源となっているかもしれません。
ネイティブの電話に普通に対応すると、相手は現在のタイトルと仕事の内容を聞いてきます。そして次に転職に興味があるかを尋ねます。有るというと、オファーできる案件なり会社がいくつかあるので、面談したいといってきます。人材ハンターは電話する時間と面談する時間をあらかじめスケジュールにいれてありますので、日程は指定されることが多いです。
ネイティブとの電話の対応をまわりの社員に聞かれたくない場合は、詳細をメールで知らせてもらうようにします。人材ハンターからの最初のメールは会社のアドレスで受け、返信とその後のやりとりは会社のネットワークを使わず、個人のアドレス(自宅のインターネット環境)を使うようにします。受信はDMと同じですが、返信はプライベートになります。私用メールを禁止している会社では、就業規則違反となり、内部監査で不利益を被る恐れがあります。
面談
本気で転職先を探すと、外国人ハンターによる成功率は低いというのが経験知です。しかしながら、英語での自己PRを忘れないようにするのに良い機会を提供してくれます。レジュメを作成し、業務経歴、仕事に対する姿勢、セールスポイント、要求項目などを、相手が気に入るように説明します。相手が要求している内容を分かりやすく簡潔に表現するスキルを磨く練習相手として、外国人ハンターは最適です。彼らは、面談している転職希望者にどの程度の斡旋価値があるか、商品としてどのクライアントに提案できるか、転職する意思がどのくらいあるのかなどを話しのなかで探ってきます。勤勉で、品行方正、正直が取り柄というようなワーカーは、ハンターの獲物ではありません。
セールスポイントを明示し、アグレッシブでスピーディな姿勢を表現しなくてはいけません。