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金言639:結果がよければ過程において「だまし」があってもいいの?
少しの事実にたくさんのウソの衣をまぶして、社内はもちろんのこと取引先にも不誠実な態度で接していた上司がいました。最初のうちは、上司がウソにウソを重ねている日常に、信頼・誠実・正常な取引は期待できませんでした。すぐばれるような稚拙なウソが気になりました。ところが、先方にばれているはずなのに、取引先は一向に離れようとしません。不思議でした。
これは、関西風のお笑いのお約束事が、関西圏での商取引の場で潤滑油として機能しているからだと自分なりに納得していました。ある時、業界大手のかばん屋の専務さんが教えてくれました。「彼のうそは承知している。損にならない限り利用させてもらう。東京の人はわからないだろうが、地元で、ああいうタイプは信用できない人物と相場が決まっている。」
ITバブル時に飛ぶ鳥を落とすほどのソフト会社の創業者の好みをチルドレンのひとりから学んだこともあります。「ボスは、よくだまされます。ただし、気持ちよくだまされることを楽しんでいます。」
お年寄がいろいろな詐欺で被害に遭っています。深刻な被害を受けている方々とは別の話で申し訳ありませんが、商取引には、だましだまされの修羅場の一面があります。本人の意図しない結果になったとき、期待外れのとき、損した方は「詐欺だ、だまされた」とがっかりします。
ところが視点を変えると、結果がよければ過程において「だまし」があってもいいのではないかという理屈になります。損しない限りにおいて、賢明なる経営者は取引相手に騙されたふりをして、したたかに利益を確保し、損失発生の曲面ではきっちりとロスカットをしていることでしょう。
品行方正で、無遅刻無欠席で、誠実なビジネスマンが会社に利益をもたらす「良い従業員」の条件ではありません。営利を目的とする私企業においては、会社に利益をもたらす従業員が「良いビジネスマン」です。もちろん法に触れる商行為は事業継続を危うくする恐れがあります。
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