金言284:バックシャン
「バックシャン」をウェブサイトで検索すると、
「後姿美人。実際には後姿だけが美しく、前から見れば不細工な女性を指す。外来語ではなく日本でつくられた造語。バックは後ろ、背中。シャンはもともとショーン、ドイツ語の美しいという意味で、バック・ショーンがバックシャンになった。」とのことです。
初めてこの言葉を耳にしたのは、入社3年目で営業部門にいた頃でした。職場の若い女性社員の後ろにまわって、2年先輩が「こいつはバックシャンだ」といいました。
当時まだセクハラという言葉が存在せず、接待や預かり金が何の問題もなかった頃で、サラリーマンは気楽な稼業があたりまえの時代でした。バックシャンという意味もわからず、それに、何よりも仕事が面白しろくて休日出勤が苦にならなかった時代ですから、女性の後姿を楽しむような遊び心に目覚めてはいませんでした。
話が変な方向に行きそうですが、早朝ウォーキングで、いつも颯爽とジョギングで追い抜いていくご婦人がいます。5時45分には帰宅されてしまうので、冬の間は暗闇のなかで追い越され、そしていなくなっていました。4月になり日の出が早くなり、6時前でも十分に明るくなってきました。先週、とうとう顔を見てしまいました。昔先輩が口にしたバックシャンでした。幸運の女神には後ろ髪がないといいます。バックシャンはポニーテイルなので、女神ではないのですが、元気に軽やかに走っている後姿は素敵でした。「泣いているのか、笑っているのか、後姿の素敵なあなた」という歌がありますが、まさしく「ふりむかないで」ということです。残念ながら、例外があるということを、いまだに路上で証明してもらっていません。
後姿を鑑賞するだけならリスクはほとんどありません。「どこ見てんのよ」と元気なオネーチャンに脅かされることもないでしょう。実業の世界でも、前を走っている成功者たちの背中を追いかけている間は、夢と期待で楽しい気分が味わえます。しかしながら、状況が変化し、前を走っている人のスピードが落ちたり、棄権したり、こちらのスピードがあがったりして、追いついたとき、「バックシャン」の顔を見てしまいます。ヴィーナスの後ろ姿に昆虫の顔がついているかもしれません。昆虫の顔だったら、生者必滅会者定離、一瞥しただけでその場を走りぬけていきます。
自分の番になったら、昆虫の顔にならないように気をつけないといけません。
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