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ため息455:先に行くから向こうでまた会おう。
しがない勤め人を長く続けるうちには、いろいろな出会いがあります。
中学校では同級生と切磋琢磨し、高校では特技をもつ先輩を目標にがんばりました。
あこがれの大学に入ると、全国から集まってきた生き方の異なる意外な人物の存在を知り、自分の懐の狭さを実感させられます。一応均質な社会であったキャンパスから社会へ出ると、勤め人の人生が始まります。そして人生で一番長い一日を、職場・客先・セミナー・イベント会場・居酒屋などでいろいろな人と何回も経験します。そういった一番長い日を経験させてくれた人たちには、何はともあれ、感謝しておきましょう。いい人よりも悪い人の方が、当然インパクトが強く、自分の考え方や生き方の根本的な部分を形成する過程に大きな影響を与えてくれたはずです。
1)生まれ変わったら何になりたい?
こう、アル中で酒乱(酩酊しても平気で商談します)のトップ営業マンが、酒席で質問しました。
この人は、行く先々で、世話になった人たちに多額の債務を発生させています。個人投資家の視点でたとえると、株式売買利益と保有株式含み損を比較すれば含み損の方が圧倒的に多いということになります。最近はターゲットが少なくなってきたので、今度は、生まれ変わってシャッフルして、また悪さをしようと考えている人です。
2)僕には時間がないのだよ、吉野君。
この人は何かにつけてうそをつきます。その場しのぎのうそをつき、それをごまかそうとしてまたうそをつきます。すぐばれるうそをつくのは、頭が悪いからだと知人はいっていました。善人でないことは確かです。「僕の目を見てくれ。僕がうそをついていると思うのかい。吉野君、僕には時間がないのだよ。」言い逃れできない矛盾が明らかになると、涙を流しながら、こういいました。
社用族が犯罪にならなかった日本列島右肩上がりの時代、この人は領収書の数字をいつも一桁書き加えて立替精算をしていました。経理事務員は領収書を裏返すと筆圧が違うので、改ざんの証拠を握っているのですが、会社に利益をもたらしている大物なので、内部告発はしません。会社の利益に直接貢献しない、販売管理費削減の対象にいつでもなる管理部門の従業員と、コンプライアンスに問題はあるが目先の事業収益に多大の貢献をしている従業員をはかりにかけて、経営者はハイリスク・ハイリターンをとりました。あの頃は、目先の利益を最優先する時代でした。
3)先に行くから向こうでまた会おう。
「遅かれ早かれ、みんな逝く。僕が先に逝くことになったとしても、君たち仲間は必ず後からやってくる。だから、向こうで会ったら今度はもっと上手にやろう。」
こんなことをいわれても、仲間といわれた人たちは、向こうでも同じことを繰り返したくないと思いますよ。また、この人の下で働くのですか。「よろこんで!」とはいきません。たくさんお世話になった人たちには、恩返しをしたいし、なめたマネをしてくれた小僧たちには、それなりのお仕置きをしてやりたいし、人生で最も長い一日を過ごさせてくれた人たちにも、何らかの具体的な意思表示もしたいし。
次は、こちらもうまくやりたいのです。
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