
「ティム・ウォルツは全米のトランスジェンダーの子供たちが性別適合手術を受けられるようにしようとしている」というデマが拡散
2024年8月6日、アメリカの大統領選挙でドナルド・トランプを支援しているスーパーPAC「MAGA Inc」は、 カマラ・ハリス陣営の副大統領候補であるミネソタ州知事ティム・ウォルツ氏をターゲットにした選挙広告を発表しました。
この広告の中で、性別適合ケアに関するティム・ウォルツについて、「未成年のトランスジェンダーに対する性別適合手術を認める法案を支持した」といった主張をしています。
しかし、実際はそうした事実はありません。
広告は、ウォルツ氏が「未成年者が性別適合手術を受けることを認める法律」に署名したと主張しています。これを裏付けるために、広告は2023年のAP通信の記事を引用しています。しかし、この記事では、ウォルツ氏の性別適合手術に関する前向きな実績について触れているものの、記事のどこにも、未成年者に対する手術や性別適合手術について触れられていません。
代わりに、その記事では、2023年からの「トランス難民州」の行政命令(法律ではありません)について論じています。この命令により、ミネソタ州は性別適合ケアの安全な州となり、家族やケア提供者は他州からの訴追から保護されます。また、州内での転向療法の禁止を目的とした法案についても論じています。
この法案を提出したミネソタ州下院議員リー・フィンケ氏は「ミネソタ州におけるすべての性別適合ケアは、国内および国際的なケア基準に従って行われます。これらのケア基準は、ウォルツ知事や知事時代に導入されたいかなる法律によっても変更されていません」と語っています。
世界トランスジェンダー健康専門家協会(WPATH)のケア基準ver8によれば、「生殖器に関する性別適合手術は、(i) 患者が特定の国で法定成人年齢に達し、(ii) 患者が自身の性自認と一致する性役割で少なくとも12か月間継続して生活するまで実施すべきではありません。年齢の閾値は最低限の基準とみなされるべきであり、それ自体が積極的介入の指標となるべきではありません」と説明されています。
繰り返しになりますが、「ティム・ウォルツは全米のトランスジェンダーの子供たちが性別適合手術を受けられるようにしようとしている」という主張は明白な誤情報であり、意図的に拡散されたデマです。
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