コイケヤさんに物申す
スナック菓子が好きだ。年代的に特にそうだ。ポテトチップスとコーンパフ系のスナック菓子がたまらなく好きだ。どうして私の友人知人は、誕生日にスナック菓子の詰め合わせをくれる、ということを思いつかないのか、と毎年疑問になるほどだ。
うまい棒などの駄菓子系も外せないが、長年の気に入りはコイケヤだった。定番の「のり塩」味だけではなくて、うすしおもコンソメも、コイケヤの味が好きだった。休日前や嫌なことがあった時のヤケクソ食い用「ガーリック」味、疲れた時や褒美用の「サワークリームオニオン」味、当然、ちょっと買っておくか枠の「ムーチョ」シリーズも外せない。
ちなみに、コーン系のスナックで最も美しいと思っていた「スコーン」、少し胃もたれをしている時にも美味しい「ポリンキー」あたりは、カールを失いつつあった身には支え以外の何ものでもなかった。
……「なかった」なんですねえ。
いえ、もちろん今でも全て食べますが、数年前からどことなく味が違う、と感じ続けて今に至ります。リブランディング?でしたっけ? 数年前、色々と様々な味や、濃厚なんちゃらや、新しいシリーズを出し試行錯誤しているな、と一消費者にも目に見えてわかるようになって以降だと思うのですが、上記の王道ラインナップたちが、微妙においしくなくなりました。何が、とは説明しにくい。強いて言うならば、雑?になった気がする。ポテトが何か硬い、食感が「こんなだっけ?」という感じ、コゲに当たる率が上がった。細かく砕けたようなものに当たる率が上がった。揚げ過ぎ?という感じ? それを総合すると、雑、という印象になるのではないかと。
で、力を入れていると思しき新シリーズに手を出してみるも、どうも今一つピンとこないわけです。どことなく中途半端な味である気がする。あえて気に入って買い続けようとは思わない、と言いますか。もちろん、全部試したわけではありませんが。若い人向けなんですかね。誰もが、なんでもかんでも濃い味や、神的な味や、特別味を望んでいるわけではないと思うのですが、そのあたりどうなのでしょう。スコーンは、以前の味の方が好みだったかなあ、と。そういう感じ。
色々と出てくる新しい商品は、スナック菓子好きにはありがたいですが、なんか、こう、コンセプトが雑といいますか、売らんかな、といいますか、せっかくあったコイケヤ的個性を打ち消そうとしている、といいますか。そんなふうに感じないこともない。宣伝を含めて、どれもこれも、〜っぽい感じがする気がしないでもない。 どことなく迷走感すらあるような気もする。リブランディングってそういうことでしたっけ?
リブランディングして、どういった層を新たなターゲットにしているか、という問題もあるかもしれない。高校生? 大学生? 20代?
となると、幼い頃に、幌馬車のマークに憧れを抱いた我々のような古参ファンは、もう用無しか……という物寂しさといいますか、切なさといいますか、侘しさといいますか、置いていかれたのだな、という実感だけが、スーパーの菓子売り場に立つと私を襲う。変わらぬ佇まいに見える「のり塩」をそっと手に取って家に帰っても、食べてみると「とりあえず今は新しいことに力を入れているから、定番はこんなもので納得してくださる?」 というやっつけ仕事的な食感に今日も裏切られる、とそんなことをここしばらく繰り返している気がしなくもない。新しいことに力を入れるなら、むしろ定番の質を落さないほうが……と言いたくなる気が起こらなくもない。まあ、こちらの味覚が変わったのかもしれませんな。
最近はですね、うまい棒率が上がりました。こちらも、サラミ味が少々変わった気がしなくもないが、それでもまだ私たち古参愛好家たちを愛しんでくれている。そうしみじみ感じる。ありがとう、うまい棒。
コイケヤのカルビー化、もしくはコイケヤとカルビーのライバル化を望んでいた人々は本当にたくさんいるのだろうか、と疑問を抱かないこともない。コイケヤはコイケヤが良かったなあ。カルビーのスナック菓子にだって好きなものはあるが、ポテトチップスやスコーンを食して、やっぱりコイケヤだよね、と思っていた頃が懐かしくなりつつある。
いえ、数字を見つめて羽ばたいていこうとするコイケヤさんを、そっと見送ればいいのですが、未練があるわけです。せめて、せめて、ごく普通の味の、あの定番を、もう一度、丁寧に、コイケヤさんらしく作っては下さらぬものか。いや、これまでだってずっと変わらず丁寧に作っている、のだとは思うのですが、いや、でもそれならば、ここ数年私が感じている、あれ?感はいったいどこから来ているのか。
と、同じように感じている人はいないものか、近頃少々気になっている。
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