見出し画像

慈雨。

今朝も朝から雨降りで、蒸し暑い空気は鎮められて、よくよく眠れます。
眠たい目をこすりながら、こうしてパソコンの前に座るのが、勿体無いくらい二度寝日和です。買った傘が届くのは、まだもう少し先でしょうか。

慈雨。雨はもちろん洪水を起こしたり、恐ろしいものでもありますが、今日の植物たちは黙って雨を受け入れて、心地よさそうにしています。

凌霄花

雀の群れの声が雨垂れの音に混じって聞こえてきます。遠くの森から時鳥の囀りが響いてきます、大きなよく通る、切実なまでの囀り。血を吹いたように口の中は赤いのでしょう。

友人の家の周りには、カッコウが住んでいると言います。かつて森のそばで夏を過ごしていた時、夏の2、3日だけ森の奥から、「カッコー、カッコー」とかすかに鳴き声が聞こえてきました。鳩時計みたいな明瞭な音の響きに、おお、カッコウって本当にカッコウと鳴くのかと思ったことを覚えています。

娘が、家の外の椋鳥の家族に「ガキガキガキって鳴いているよ」と言いました。たしかに、ギャアギャアよりもそちらのほうがしっくりきて、子供の耳の方が素直なのではないかしら。と思いました。

雨のベランダ

私は、通勤途中に電車で渡る橋の上から、河川敷をじっと眺めるのが好きです。
人の入れない場所にある、その中の生き物たちの営みが、ちらりと垣間見えるからです。

中でも大きくなった柳の木々の間や、増水時に取り残された池が好きで、ジャングルみたいだと目を凝らします。

湿地帯

七色の羽を持つ鳥や
黄金色の猿
岸辺にはピカピカした目の鰐が獲物を狙っています。

全身が鎧のようにトゲトゲとした大きな虫がいて

それを大蛇が飲み込んでいるところを想像する、他愛無いお遊びです。
どうでしょう、見えてきませんか。

時折お爺さんとかが入っていて驚くのですが、それは彼もまたあちら側の生き物なのかもしれません。

人間ではない生き物がとても好きです。自分の子供たちはやはり特別な存在で、間違いなく大好きなのですが、幼い頃から人間ではない生き物に心惹かれ続けているのは変わらず、私の写真フォルダは子供か生き物たちばかりです。(あとは美味しいもの)

地球は
花や果実に先駆ける木の葉と同じように
生きている詩である

ソロー

ソローの詩が慈雨のように沁み渡り、アゲハ蝶の葉を食べる音も、まるで雨みたいねと思う6月の終わりです。


よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートはフィルムと子どもたちとの旅に使わせていただきます。