芸術作品への説明の功罪
上の写真はなにに見えるでしょうか、
ドイツの画家ハンス・ホルバインにより1533年に描かれた『大使たち』(たいしたち、独: Die Gesandten)という絵画がある。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BD%BF%E3%81%9F%E3%81%A1
なにも知らずに普通の人が見れば、ヨーロッパのおじさんが二つ立っているだけの絵だ。
画面の左側に立っているのは、ポリジー (fr:Polisy) の領主、ジャン・ド・ダントヴィル (en:Jean de Dinteville) であり、 右側に立っているのは、ラヴォールの司教、ジョルジュ・ド・セルヴ (en:Georges de Selve) である。ダントヴィルにとって、このときが3度目のイギリス訪問であったのに対し、ド・セルヴにとっては、このときが最初のイギリス訪問であった。
と説明を聞くとただのおじさんではなく、大使たちの意味もわかって、絵の意味が7少し変わってくる。
さらに、画面左上には、キリストの磔刑像が、カーテンの後ろに半ば隠れるようにして見えている。2人が立っている床のモザイク模様は、ウェストミンスター寺院の内陣のそれを模写したものであるとされている。その床面の上には、長細い形状をした物体が描かれているが、これは、アナモルフォーシスという画法が用いられており、画面の右方もしくは左方から鋭角的に見ると、頭蓋骨であることがわかる。
見えなかったものが見えてきて、また絵の印象や意味が深まり、説明を聞いてよかったと思うことでしょう。
さて、下の写真を見て、最初の写真を見ると、写真の印象と意味が変わってくる。そして、もうもとの印象に戻ることができない。これははたしていいことなのでしょうか。
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