書店の市場規模はどのくらいですか？【コンサル面接解答集/フェルミ推定】
はじめに
ケース面接対策道場のケース侍田中です。
ケース面接対策でうまくいかないことが続くと、「自分は頭が悪いんじゃ…？」と自己嫌悪に陥ってしまうことってありますよね。
私も、以前そうでした。
自分がケース面接対策で苦労した経験から、わかりやすい丁寧なケース面接対策のコンテンツを発信しています。
この解答例は良問を選んで、解答したものです。
実際の面接のディスカッションを想定して作られており、各ポイントも記載されています。
一連の流れ、考え方をぜひケース面接対策の参考にしてみてください。
こちらは前回の記事になります↓↓↓
問題1：書店の市場規模推定
面接官「本日の初めのお題は、書店の市場規模を推定して下さい。5分で考えて下さい。何か質問ありますか？」
（１）前提確認
田中「書店市場の定義を擦り合わせさせて下さい。
求める市場規模は、国内書店のいわゆるジュンク堂や紀伊国屋、あとは街の本屋さんといった実店舗の書籍の総売上という理解でよろしいでしょうか。」
面接官「はい、そのご理解でよいです。」
田中「有難うございます。
他は、大きな書店はネット販売もしているかもしれませんが、そちらは僅少として除かせて頂いてもよいでしょうか。
また、書店でペンやブックカバーといった小物も販売していると思いますが、こちらも僅少して書籍の売上にフォーカスしての算定でよろしいでしょうか。」
面接官「はい、田中さんの設定で大丈夫です。他に質問なければ、初めて下さい。」
田中「承知しました」
★ポイント
前提確認では推定する市場を定義(国内or海外、対象の商材、ビジネスモデル等)しにいく。
今回の場合、書店の定義を実店舗の総売上で認識を合わせた。
その上で、書店でのECの可能性や小物の売上も視野に入れた上で、計算対象の商材を書籍の絞っている。
いきなり算定に入らず、候補者から対象市場の定義を提案し認識合わせ出来る姿勢も評価されている。
―――(5分後)――――
（２）算定式とその数値の根拠を述べる
面接官「いかがでしょうか？」
田中「結論として8,000億円になります。
算定式、セグメント分け、数字の根拠の順で説明します
★ポイント
いきなり算定式を流れで言わずに、“算定式、セグメント分け、数字の根拠の順”とこれから説明する内容を構造化し面接官に伝える。
そうすることで、聞き手(面接官)は話の見通しがつき聞き手の情報処理負担を減らすことが出来る。
・算定式
算定式ですが書店の市場規模＝販売数量/年×購入単価
で考えています。
販売数量/年は更にブレイクダウンして考えました。
書店の市場規模＝
販売数量(①対象人口×②書籍購入割合×③冊数×④実店舗(書店)で購入する割合)×⑤購入単価
としています。
・セグメント分け
主に“②書籍購入割合”は余暇の時間を書籍にあてたり、参考書の購入といった勉強時間の必要性があること、“④実店舗(書店)で購入する割合”は、ECの利用や電子書籍の購入といったデジタルへの抵抗感で差が開くと考え世代で分けました。
具体的にはシニア60歳以上と、シニア未満(60歳未満)のセグメントで分けています。
・数字の根拠
数字の根拠について、販売数量から順に説明していきます。
・①対象人口
シニア未満の60歳未満が9,000万人、シニア層の60歳以上が3,000万人としました。
考え方としては人口1.2億人を母数として出発しています。
平均寿命80歳で世代毎均等に存在すると考え1世代150万人(1.2億人÷80歳)存在しているとして、シニア(60歳)未満が9,000万(150万人×60世代)、シニア層(60歳以上)が3,000万人(150万人×20世代)としました。
なお、書籍を読み始めるのは3歳位の絵本からで0～2歳は読まないとも考えもしましたが、僅少であることや読み聞かせをしている家庭もあると思い、除かずに計算しています。
・②書籍購入割合
シニア未満80％、シニア層40％、と考えました。
リアル本と電子書籍を年間で1冊以上購入するか否かが、この”②書籍購入割合”の意味合いになります。
なお、書籍の捉え方としては
漫画・雑誌・小説の娯楽・趣味系、
ビジネス・実用本系、
受験・資格勉強系
等に関する書籍として、リアルな本に加え電子書籍も含むものとして捉えています。
具体的な数字の考え方はシニア未満の層は、全員が全員購入するわけではないが、大半は購入していると仮定し80％しました。
一方で、シニア層は時間に余裕が出来、図書館の利用が増えることが想定されることや、年金生活での金銭面がシビアになってくると考え、”②書籍購入割合”はシニア未満より減少すると考えました。
加えて、シニア層はシニア未満の層と比べビジネス・実用本、受験・資格勉強といった書籍での情報インプットの機会は減少すると考えシニア未満の半分の購入割合として40％と仮定しました。
・③冊数
シニア未満20冊/年、シニア層10冊/年としました。
考え方は、まずシニア未満層の中で顧客層を冊数/年で分けて加重平均して考えました。
本が特に好きな方で週1冊の年50冊、本をあまり買わない方で2か月に1冊の年6冊、本好きとあまり買わない間の方で月1冊の年12冊が均等にいると仮定して加重平均し20冊(≒50冊×1/3+6冊×1/3+12冊×1/3)と仮定しました。
シニア層は勉強での参考書の購入や漫画の購入はシニア未満よりも少ないと考え、シニア未満の半分と仮定して10冊/年としました。
・④書店(リアル店舗)で購入する割合
シニア未満は50％、シニア層は90％としました。
シニア未満はAmazon、楽天いったECでのリアル本の購入やkindleに代表される電子書籍の購入機会も多いと考え書店で購入する割合は50％と仮定しました。
一方、シニア層はECや電子書籍の購入割合はほぼ少なく書籍購入の大半は書店と考え90％仮定しました。
・⑤購入単価
シニア未満、シニア層共に1,000円としました。
ざっくりですが、漫画・娯楽系500～800円程度、ビジネス本で1500～2000円、受験資格用で1,500円程度、絵本500円と仮定して、ならして1,000円と仮定しました。
以上、まとめるとシニア未満の層で7,000億円、シニア層で1,000億で計8,000億円になります。
（３）数字の検証・精緻化
面接官「分かりました。有難うございます。いくつか質問させて頂ければと思います。まず、8,000億円という算定結果は、どう考えますか？」
田中「そうですね、国民1人当たりの年間の書店の支出だと、8,000円程度(8000億円÷1.2億円)になり、月額ですと700円程度になり体感として妥当な範囲と考えます。桁感がズレるといった大きなズレはないかと思っています。」
面接官「分かりました。今回の算定式で幅が出ると考えている因子はどれですか？」
田中「“②書籍購入割合”、“④書店(リアル店舗)で購入する割合”は体感でおいているところもあり実際との幅が出ていると考えます。」
面接官「では、どうやって精緻化出来そうですか？」
田中「はい、“②書籍購入割合”、“④書店(リアル店舗)で購入する割合”、それぞれで考えます。
まず、“②書籍購入割合”ですが、書籍が嗜好品であることや図書館で無料で借りれることも考えると、所得に影響されると考えました。
ですので、所得差で更にセグメントを分けて考えていくと精緻化出来そうです。
また、“④書店(リアル店舗)で購入する割合”ですが、ネットへのアクセスが可能かどうかで分かれそうです。
例えば、“④書店(リアル店舗)で購入する割合”の因子を更に分けて、”④-1ネットへのアクセスが可能な割合×④-2書店(リアル店舗)で購入する割合”に分解出来ると考えます。
シニア未満の層は、スマホ含めネットのアクセスが可能な割合は100％近いと考えますが、シニア層だと人や家によってはネット環境が整っていないことも考えられるので”④-1ネットへのアクセスが可能な割合”で差が出ると考えました。」
面接官「なるほど。
シニア未満の”④-1ネット環境があるか“は100％近いとすると、他にはどう考えれば精緻化が出来そうですか？」
田中「そうですね、シニア未満ですと、電子書籍で購入するモチベーションとしてkindleといった電子書籍専用デバイスの所有で“④-2リアル店舗で購入する割合”は変わりそうです。
電子書籍専用デバイスを所有している層の方が“④-2リアル店舗で購入する割合”が減り、専用デバイスを所有していない層の方が増えるので、シニア未満の層を更に、電子書籍専用デバイスの有無でセグメントを分け精緻化することは出来そうです」
（４）他の算定アプローチ
面接官「分かりました。では、今回の算定式以外に、どの様なアプローチで書店の市場規模は算定出来ると考えますか？」
田中「そうですね、今回需要サイドで算定したので、他には供給サイドでのアプローチが考えられそうです。供給サイドをバリューチェーンで考えて、本の企画→本の製造→本の販売で整理すると、例えば川下の本の販売では書店数×1書店当たりの売上と出来ます。また、川上に登って、本の製造で考えると、製版工場×1製版工場の売上と考えられると思います。
他には、紀伊國屋、ジュンク堂といった書店の主要企業の売上÷当該企業のシェアでも求めることが出来そうです。」
面接官「分かりました。一旦フェルミはここまでとしたいと思います。次は、売上向上戦略を考えて頂きたいと思います。」
田中「承知しました」
いかがだったろうか。今回はフェルミ推定について解説してみた。
次回は売上向上戦略について解説してみたいと思う。
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