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愛ってありますか?
年齢を重ねるほどに変化するのが身体能力と思考能力。
あの時まで平然とできていた筈のことが容易ではなくなり、その一方で、これまでの経験によって考える力がより多角的に深く複雑になっていく。
だが、いつまで経っても意識しない限り得られない力がある。
共感力が求められる時代。
人と人とのつながりが希薄になった皮肉な表れだと思う。
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愛 と AI
先日、尊敬する女性先輩と話をしていて、AIと人の心は同じなのだろうか?という話題になりました。
人の心の機微もデータ化してプログラムに入れ込むと、人の心と同じようになるのか?という話に熱中しすぎて、後から冷静になれば、まだ見ることの叶わない未来を、現実の問題として考えることの意味を考える余裕がなかったなぁと。
AIに愛が理解できるか?
これをテーマにした映画や物語などがありふれていますが、現在のところ答えの出ない議論とされながら人の関心を集めているのは間違いのないところなのでしょう。
確かにその議論を進めようとすると突き当たるのが「愛」とは何か?
なので、CASAに来てくれるお客さんに「愛」って何ですか?と聞いてみました。
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愛って何だろうか聞いてみた
よく、「愛とは与えるもの」という言葉を口にする人がいます。
これは1つの正解だとは思いますが、10人に聞くと10個の答えが返ってきました。ということは、10個の正解ですね。
エーリッヒ・フロムの書いた「愛するということ(鈴木晶訳)」という本の一説に
愛するということは個人的な経験であり、自分で経験する以外にそれを経験する方法はない。
と書いてあります。
愛とは技術であり、習練が必要で、そのためには自分自身を感じ取る力が求められ、そしてこのようにも書いてあります。
一人でいられるようになることは、愛することができるようになるためのひとつの必須条件である。
だそうです。
「一人」とは、言葉通り一人きりになって、自分に対して敏感にならなくては、愛が一体何なのかを知る方法がないとまで書いてあります。
そして、謙虚さと客観性と理性を育てなれなければならないようです。
確かに、色々なものと関係性を保ちながら、様々な事柄や人々からの捉われを解き放ち、常に客観的な物事への見方で理性を働かせることができたら、心に翼が生えたように感じるのかもしれません。
逆に、目の前に起こる出来事を主観的に受け止めれば、感情的になります。
身近な人が対象であるほどに、感情の起伏は激しくなり、ともすると自身の身体にまで影響を与えることもあります。
愛するがゆえに自分がダメージを追い、愛するがゆえに相手を傷つけることも経験すると、何だか愛とは決して良いだけのものではないようにも感じられます。
ここでひとつ思いました。
求めるもの = 「愛」
となる人がいるようです。
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受け止められない愛は愛なのか?
欲しいものを手に入れることに躊躇しない世の中において、
いつの間にか、
「楽しさ」とは手に入れ消費すること
に置き換わってしまったように感じます。
今の世の中は、消費と交換に人の欲求が集まるように思えます。
求めるものが「愛」を形に変えたものだとするのは錯覚ではないでしょうか?
食を提供していると、色々な問題や悩みを抱える方とお話をする機会をいただきます。
この時に、提供する側(作る側)に立つ人は、相手のことを想いながら何がベストか?を試行錯誤しています。
祈りにも似ているなと思う時もあります。
かたや、受け取る側というと、よっぽど特別感がない限り、そのほとんどが当たり前のものとして受け取るか、たいして価値がないと思えば脇に避けようとします。
ここには感謝が生まれてきません。
たくさん想いの詰まったものを相手に差し出しても、相手がそれを必要としてくれなければただの押し売りと変わらないのかもしれません。
ということは、客観的に見れば、人に何かを与えるよりも、誰かにしてもらっているという考えの方が愛の存在に近い感覚なのかもしれないなと思いました。
お味噌作りやぬか漬けのワークショップをしていると、面白いことにお子さんが作ったものが美味しかったりします。
子どもたちにお願いするのですが、お味噌やぬか床も生きているから
「おいしくなぁれ」っていっぱい言ってあげてね。って
動物を飼っている人も共感してくれると思うのですが、私たち人間も含めた生き物はみんな、純粋な氣持ちに反応するんです。
愛してるよって純粋な想いは、思考を巡らしたり、行動で表したり、与えるものでも受け取るものでもなく、ただそこに在ることを感じるものなのかもしれないですね。
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