「I was born」 不妊治療で思ったこと
1年前、38歳。
僕は、中学生の頃に読んだ、「I was born」(作:吉野弘)を思い出していた。
---- I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね----
(引用:I was born/吉野弘/一部抜粋)
国語が好きでもなかった僕が唯一覚えている、教科書に載っていた詩。当時は、よくわからないけど、インパクトがある、という感想だったと思う。
*
僕は、大人になり、結婚した。
そして、妊活をした。
しかし、なかなか赤ちゃんを授かることができなかった。
「不妊治療」
それでも、結果は思うようにいかなかった。
子どもができないのは、我が家に子どもができない方が幸せ。
そう、神様が言っているのだと思うこともあった。
精神的にも、金銭的にも苦しい。
妻は、本当に大変だったと思う。
それでも、私たちは、子どもがほしかった。
顕微授精に、願いを託した。
---- I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は
生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね----
吉野弘さんが表現したかった本質とは、ずれているかもしれないが、当時、この一説が、僕の頭の中を離れなかった。
*
とてもありがたいことに、ラストチャンスと決めた治療で、子どもを授かることができた。
本当に奇跡だと思った。
涙が止まらなかった。
生まれてきてくれて、ありがとう。
*
人間は、生まれさせられるのか?
受身形なのか?
それは、これからの僕次第なのだと、今、思っています。
かけがえのない我が子を、全力で幸せにしたいと思っています。
〜完〜
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