34. 初体験まずはスタイルから
雨季になって、大地が潤っていい香り。ライチとのお散歩も朝が気持ちいい。
私たちが建設業者ヘススたちに依頼したのは、スペイン語でObra Gris(オブラ グリス)まで。構造と配管を済ませた「箱」までのところ。その先の作業は私たちで行う。
通常、メキシコの建売住宅など一般的な家では床に薄いタイルを敷き詰め、バスルームなどは壁もタイル仕上げ。そのため、Obra Grisは壁もブロックとセメント、床もコンクリ流し込みの状態。その壁を住居用にするために以下の手順を踏むことになる(もちろん、そのままでも住めないわけではない)。
1) セメントの欠けた部分や凸凹の場所を微調整
2) 漆喰を塗る
3) 止め剤(Sellador 白いセメント、カオリン、接着剤を水で混ぜる。日本語でなんというのか不明)を塗る
4) ペンキを塗る
私、今まで40数年生きてきて、セメント扱ったことも、漆喰を手にしたことも、止め剤などを混ぜたことも、何一つとして経験ありません。強いていえば、昔どこかのバイトでペンキを塗ったっけか?程度。
セメント用のコテは丸っこいのや少し角をつけたもの、大きいの、小さいの、数種類ある。始めは意気揚々と大きい丸っこい物でやっていたのだが、なにぶん素人が一日中これを扱えるわけもなく、敢えなく小さい三角のものに落ち着く。こちらの方が扱いやすい。
まず、すでに設置されたドアと窓枠周辺のギャップをセメントで埋めていく作業から始める。
☆セメントの練り方、割合
①セメントに混ぜる川砂をふるいにかけておく。
②セメント1に対して、川砂は5。コレを先によく混ぜておく。
③水を少しずつ加えて混ぜていく。コテで切るように混ぜると割とはやく混ざる。ブロックやレンガ積み、隙間埋めの場合、硬さは「ジェラート」程度。←これ、大変わかりやすい。
④使っている間に蒸発して少しずつ固まったら、水を再度足して練る。
壁にできた窓枠用開口部と窓枠には上下左右3-5cm程度の隙間があり、ここをちまちまと埋めていく。のだが、なんだかすごくやりづらい。セメントを埋める作業をしているのか、セメントを落とす作業をしているのか。
ヘスス軍団の熟練工たちを見ていたが、誰一人として鏝板(コテいた)を使っていなかった。右手にコテ、左手に小さな盾のような板を持ち、そこにセメントを適量のせるアレ。どうやらメキシコには鏝板を使う習慣がないらしい。
習慣もへったくれも無い。日本人の私も、メキシコ人のクマ夫も、生まれて初めてのセメント塗り。廃材の中から適当な板を左手に持ち、YouTubeで見た日本の職人さんみたいに板の上にセメントを乗せてやってみる。
クマ夫、漫画みたいにピッカ〜〜!!って顔の周りになんか出てる!
すごくいい。これ、すごくいい!
私もやってみる。すごくいい。コテ板とコテの面と角度、重力とで埋めたい場所の角度方向に欲しい量掬って持っていける!
ということで、うちでは日本式を採用。
二日かけて、全ての窓とドアの枠の隙間を埋め終わった。
これをこう↓ 微妙に埋まったの
続きましては、寝室2の壁面セメント微調整。
まず最初にこの部屋のセメント、漆喰などを終わらせてしまう順序。というのも、この寝室2はのちに滞在する予定の家族用寝室なので、その他の滞在者に見せることがほぼほぼない。ならばここを私たちのセメント塗り、漆喰塗り、止め剤、ペンキ作業の実質「訓練施設」にしてしまおう計画。寝室2の奥は間仕切りをしないクローゼット。ここから始める。
と、ちょっと待て。
階下の東半分は約1m下げてあり、床から天井までは3.7mある。
コレはどう考えても足場が必要になる。
レンタルも安いもので一日50円もしない。が、2階部分も含めると何ヶ月も使うものだし、脚立では危険。ということでコレはいっそのこと買ってしまおうと。車輪付きの中古で3万円弱。
ゴーグル、頭にはもちろん手ぬぐい、足元はすべらずグリップの効くギョサン、足場、コテ。
手ぬぐい巻かないとどうしてもやる気が出ない。
さあ、一丁前にも道具は揃った。始めるか。