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メキシコの一般家庭の建て方って、ヘススたちがどうこうというのではなくて一般的に「適当」。どこの家も、建て終わった後にあれこれ出てくるのが普通だし、中古の家なんてそれをまた前の住人があれこれ直してあるから小さい問題から大きな問題まであれこれ出てくるのが普通だ、とのこと。在住30年電気系統のスペシャリストが言うのでそれはそうなんだと思う。

ヘススから鍵を受け取り1ヶ月、2ヶ月。雨季でザバザバ雨が降る間に色々なものが見えてきた。むしろ内装も含めた全ての工事を依頼しないでおいてよかったのかもしれない。
 
外壁の防水塗装のムラが見つかり、室内のブロックとセメント剥き出しの壁数カ所で雨水の染み込みを確認する。もし内装も全て一括で依頼していたら(むしろこっちの方が普通なんだろうけど)これは見つけられなかった。
 ブロック外側にセメントを厚めに塗り、その上に防水加工をする。一見すると白いペンキのようだが、これは薄いビニルの幕状になったり、グラスファイバーの繊維が入っていたりして、そうそう簡単に剥がれ落ちることはない。けれど、2度塗りが欠かせないし、それもケチって薄く塗ると効果はない。
 たまたま、ヘススたちがこの作業をしている時に私は写真を撮っておいた。
 おい、すっごいうすいじゃん。もっとコッテリたっぷり塗らなあかんねん。しかも!例の小学生がやってるし(いや、彼は小学生高学年でもとても利発な子だったけどさ)。

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拡大してみると、塗りが薄いのがよくわかる。


 それとは別に、2階のテラスの壁の水平部分が一部浮き上がって剥がれてしまった。剥がれて、と言うよりもボロッと取れてしまった。これはいかん。その周辺を拳でコンコンと叩いてみると、音の違いで「ここは浮き上がってる」とわかる。目で見ただけではなく触って叩いてみる。それを、後日やってきたヘススに伝える。目できて「うん、あとの部分は大丈夫」という彼らに「いや、音の違いを聞いて。こことここの音が違う。違う部分が剥がれる。」というと、すごく驚いた顔をする。今まであんたはそういう調べ方しなかったんだな。

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数カ所、合わせて1.5m分がこのように剥がれてしまった。

 もう一つ別件。家の西側の壁が何故か湿気がすごい。クマ夫が推理したのが、基礎部分の防水を十分にしていなかったからではないか。ある日、思い切ってその疑惑の部分をクマ夫が掘り下げてみると、案の定防水のために塗ったタールのようなもの(Chapopote チャポポテ)が、塗り忘れられている部分や塗り足りない部分があった。これではもちろん湿気が入り込んでくる。

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 またまた別件。家の中に数カ所ある「ブロックを使わない壁」の表面が、止め剤(シーラー)をしっかり塗っていないもしくは全く塗っていないせいか、カサカサと砂状の埃が出てしまう。これもあってはいけない。シーラーをちゃんと塗らなければ、年月が経つにつれ表面が崩れてきてしまう。

 しかも別件。二階の壁に、斜めに亀裂が入っている。構造上は問題ないのだがやはりできたばかりの家の壁にヒビが入っているのはおかしい。亀裂に外側からセメントを埋め込んでいく。

 セカンド、サードオピニオンとしてメキシコ国内の色々なレベルの土建業者にこれらを聞いてみる。構造上、耐久性としては問題がない。どんな土地であってもその上に大きな家屋が立てば次第に地面は少しずつ動くし、建物のセメントも雨を吸って風に吹かれて乾いて伸び縮みをするので、ヒビは入るもの。
 とはいえ、私たちはこのArkadiaを建て始める前、とんでもないことになった実例を見てしまっている。土地を買うときに一緒に相談に乗ってくれた地元の医師チューイ。彼はお父さんから譲り受けた土地に25年前に小さな別荘を建てた。ところがその土地は湿地帯に囲まれているため、元々の地盤がゆるゆるなのだ。しかも、若い時に何も考えないであれこれ家の周りに木を植えたせいで、その根っこが家の地下まで這っていき基礎を持ち上げ、家の壁が大きくひび割れてしまった。表面だけでなく中のブロックも全て崩れてしまい、中から外が見えるようになってしまったのだ。これはもうどうにもならないので、チューイはその部分を直している。なんと恐ろしい。この光景が、クマ夫に将来起こるかもしれない恐怖を与えているのだ。慎重すぎるほど慎重に全ての壁を睨みつけている。

ヘスス達は3回ほど、手直しに戻ってきた。
メキシコではこんな感じが日常らしい。
日本だったらどうなんだろう。


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