『文体の舵をとれ』練習問題②
※問題を引用してよいものかわからなかったので習作だけ載せています。どういう文章なのか気になる人は本を手に取ってね。(ル=グウィン、アーシュラ・K『文体の舵をとれ』大久保ゆう訳、フィルムアート社、二〇二一年。)
以下本文(所用時間10分)
誰もいない薄暗い書庫の中でしばらく時間を過ごしてなんとなく目についたとても面白そうな本をどうしても手に取りたいのだけど何をどうしてもほんのちょっとだけ届かなくてなんでこどもの頃にもっと牛乳を飲まなかったんだろうとかバレーボールやらバスケットボールやらやってたらよかったんだろうかとかそもそも人を呼びに行けばいい訳だけどそれもおっくうででもあの背表紙のキラキラはとてもきれいでやっぱり触ってみたいし埃っぽいのはちょっと嫌だけど古い本のザラザラ装丁の心地よさは好きでそれは別の本でもいいんだけどそうじゃなくてこの本がよくてこの本じゃないといけない理由は思い浮かばないんだけど直感を大事に生きてきて損をしたなあと思うこともそうないしちょっと首が痛くなってきて目線を下げるとおんなじような本が見つかってでもおんなじような本はおんなじじゃないんだよなあという心の中の悪魔がもう一度目線を上げさせてきて筋がぴきりと痛んだのはもしかして天使の方の仕業かもしれなくてこっちの本でもまあいいかと新たに見つけた本の方に手を伸ばしながらきっと天使が言うんだからこっちの方が結果的に良くてそれもやっぱり直感を信じるということでもあるわけで私の生き方に間違いはないんだと考えるに足る材料を与えてくれるのだねと納得しながらまだしぶとく残る悪魔の声を振り払い振り払い濡れた犬みたいに頭をぶるっとしてみてすっきりしたと思い込んでみてやっぱりちょっと気になるんだけどまずは動くのが吉だとおじいちゃんの声がしたからこっちの本を手に取ってみようと考えるまでの私の思考がおおよそこんな感じだった訳なのだけどみんなきっとすっぱいぶどうだと言うんだろうなということは私にだってわかっているんだけど仕方のないことってあるしあっていいしあるべきだと思うしそれが生きるってことな訳っていう内容が書いてあったんだこの本には
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