『文体の舵をとれ』練習問題⑥
※問題を引用してよいものかわからなかったので習作だけ載せています。どういう文章なのか気になる人は本を手に取ってね。(ル=グウィン、アーシュラ・K『文体の舵をとれ』大久保ゆう訳、フィルムアート社、二〇二一年。)
一作品目:
老女はせわしなく、背の綻びたノートを繰っている。もうすぐ卒業論文の提出期限を迎えるのだ。老後の余暇にと、彼女は大学に通っている。新しい事を学ぶ動機や気力はなく、昔取った杵柄と言わんばかりに、四十数年ぶりに国文学を学び直している。このノートも、その頃からずっ