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Coloso講座「Blenderで作る色彩豊かなイラスト調3DCG」を始める前にお伝えしたいこと
イラストレーター/3DCGクリエイターの「あさみや工房」です。
Colosoさまにとてもありがたい機会を頂きましてBlender講座を制作させていただきました。
2024年11月の公開から長いことお時間頂きましたが、2025/1/22(水)に全ての講義が公開されます。既に受講いただいていた方には大変お待たせしました。
初めての講座制作ということもあり、思っていた以上に時間がかかってしまいました…。別のお仕事も並行しながらということもあり、昨年は休日もひたすら作業しておりました。(無事、年内に撮影収録を終えられてほっとしています)
そして講座制作を通して伝えることの難しさも改めて感じました。
講座公開に合わせて詳細やポイントをお伝えしていければと思っていたのですが、撮影・収録に追われて全く発信することができませんでしたので、改めて講座の入口部分についてもう少し詳細をお伝えできればと思いnoteを書いてみることにしました。
私が伝えられる有益な情報とは…
Blenderは既にたくさんの情報がネット上にあり、やりたいことを調べればほとんどの情報を見つけることができます。私の講座を受けなくても、知ることができる情報は山ほどあり、さらに私よりもわかりやすい講座もたくさんあると思います。
そんな中で、私がどのような有益な情報を届けられるのか…。
改めて考えてみるととても難しかったです。。
なのでここでは、私がBlenderを習得するにあたって難しかった部分を振り返ってみました。
同じような難しさを感じて学習を止めてしまった方がもしかしたらいるのではないかと…。
Blender習得のハードルに感じたこと
講座の中でもお話しているのですが、私が感じたBlender習得のハードルに感じたことが以下の点です。
1. マウス操作で絵を描く感覚が薄れてしまう
2. 出したい色を出すための色選びの難しさ
3. キャラクターづくりに多くの機能と知識が必要
この内容に対しての自分なりの回答を軸にして、Blender習得のハードルをできるだけ低くできるような情報をお伝えできれば私なりの講座が作れるのではと考えました。
ひとつずつハードルに対するアプローチを見ていきます。
1. マウス操作で絵を描く感覚が薄れてしまう
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最初はマウスで操作していましたがどうしても絵を描く感覚から離れてしまい、そのたびに学習に間があいてしまうことが多くありました。
講義の中ではマウス操作ではなくペンタブレットを使用して操作していきます。
少し慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、意外とこれだけでも絵の延長線上にある作業に感じて学習を続けることができるのではと思います。
あとは、絵を描かれる方でBlenderが気になった方の中には「グリースペンシル」という機能に興味を持たれた方も多いと思います。(私もそのひとりです)
グリースペンシルを使ってオブジェクトを作っていく方法は、私も好きな制作方法の1つですのでこの内容はぜひお伝えしたいと思いました。
(講座の中では、草花を作るときやキャラクターの顔のパーツを描く際に使用します)
2. 出したい色を出すための色選びの難しさ
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私が大きくつまずいた部分で調査にもとても時間がかかった部分です。
初期状態のままスタートすると、、
「色が全体的になんか暗い…」「白いキャンバスで描きたいんだけど…」「影の色どうやって変更するの…」などなど疑問点がたくさん湧いてきました。
あとは、当たり前のことではあるのですが、光・ライトの当て方によって色も大きく変化します。
ペイントソフトのように「この赤で塗りたい」ということをBlenderの中で行うために、その物体の色の設定と合わせて光・シーン全体の影の色を考える必要があります。
絵を描く感覚で色選びをしたいのに、その状態を作ることがとても難しかったです。
その部分が簡略化できるように、講座用に環境設定済みのセットアップファイルとオリジナルのマテリアルを用意することにしました。
(マテリアルとは、色や質感を設定する機能のことです)
この部分を簡略化することで、まずはオブジェクトを作ることに集中して学んでいけるのではと考えました。
3. キャラクターづくりに多くの機能と知識が必要
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簡単な机や椅子だけではなくて、キャラクター作りもやっぱりやってみたいですよね!(最初は「背景素材だけで十分」と思っていた私も欲が出てきていつしかそう思うようになってました…)
とはいえ、キャラクター作りには簡単なオブジェクト作成では使わなかった機能や設定がたくさん必要になります。
一応はキャラクターが作れるようになった私の今の状態でも、正直まだわからないことが多くて、難しいこと・うまくいかないことがたくさんあります。
この部分をできるだけ簡単にするために「アドオン」という追加機能に頼ることにしました。
アドオンには有料/無料のものがありまして、キャラクター制作には有料のアドオンをいくつか使用します。
講座を受講いただく方には追加の出費となり心苦しい部分もあるのですが、やりたいことにまっすぐ、できるだけ効率よく進むための投資と考えれば、私としては安いのではと考えまして講座の中で使用することとしました。
キャラクター制作に使用する有料アドオン
・ Auto-Rig Pro ($50)
・ Voxel Heat Diffuese Skining ($30)
・ Quad Remesher ($15.99~)*
* サブスクリプション/非商用/永久ライセンスなどの選択肢があります
(1か月のトライアル期間があります)
※上記有料アドオンはキャラクターを作る講義でのみ使用するようにしましたので、それ以外では購入しなくても受講いただけます
これらのアプローチを講座の中に入れていくことを考えました。
あとはどうしても長い時間をかけて取り組んで頂くことになると思いましたので、モチベーションが保てるよう比較的短い時間で一つ一つを完成させていくことも目標にしました。
(キャラクター制作や複数のオブジェクトの組み合わせの作成はそうはいきませんでしたが、おおよそ30分~1時間の講義時間で1つのオブジェクトを完成させていきます)
そしてこの画像のような「キャンプグッズを持ってピクニックを楽しむ男の子と女の子」の制作を行っていきながら、Blenderの機能と操作・作成方法を学ぶ講座にしていくことを決めました。
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まずはどんな講座内容かの入口についてのお話となりました。
続いてはColoso講座ページからは少し伝わりづらいセットアップ部分についてお話していきたいと思います。
オブジェクトの制作を行う前にすること
Blenderをインストールしてそのまますぐオブジェクトの制作が使い始めれれば一番楽ではあるのですが、何度も繰り返す作業部分の効率化はやはりはじめに行っておきたいものです。
講座の中では環境設定やアドオンのインストール・ショートカットキーの設定など順を追って説明していますが、ここでは少し内容を絞って以下の内容について書いていきたいと思います。
1. 有用なアドオン
2. 変更されているショートカット
3. セットアップファイル+オリジナルマテリアル
1. 有用なアドオンのインストール
ここでは、特に重要なアドオンについて書いておきたいと思います。
(講座内ではその他にも使用するアドオンについて解説しています)
①便利なパイメニューを表示できるアドオン
「Easy Custom Pie and Keymap」
このアドオンを使用することで、複数の便利機能を含んだモード変更のパイメニューの表示ができるようになります。
アドオンインストール時には「Ctrl+Space」にキー割り当てされますが、初期状態のBlender「Ctrl+Tab」で表示されるパイメニュー(画像左側)の代わりに使用できるので、私の講座内では「Ctrl+Tab」に置き換えてしまってます。
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パイメニューの左側に表示される機能がとても便利で、「Join Objects(Ctrl+J)「Set Pearent(Ctrl+P)」など、よく使用するのにショートカットキーが遠いものへのアクセスが容易になります。
また「Link Material」もよく使う便利な機能です。
また、Zキーで表示される「シェーディングモードを切り替えるパイメニュー」も変更されます。
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このパイメニューからは「ISOLATE」の機能がとても便利で選択しているオブジェクトのみを表示させることができます。
通常のショートカットだと「テンキー/」が近い機能だと思いますが、左手を移動させずに行うことができます。
②自分の好きな機能をまとめられるアドオン
「Pie Menu Editor」
このアドオンは、自分の好きな機能をまとめてパイメニューやポップアップウィンドウとして表示させることができます。
Blenderの標準機能の「お気に入り」が近い機能ではありますが、それよりもかなり細かいカスタマイズが可能なアドオンです。
有料のアドオンですので講座内では必須アドオンとしていませんが、忘れがちな機能の場所やショートカットキーは設定しないにしてもすぐにアクセスしたい機能などを整理しておくだけでも有用なアドオンです。
講座を受講いただいた方には以下のようなポップアップウィンドウが呼び出せる Pie Menu Editor の設定ファイルをお渡ししています。
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私の講座での一押しポイントに「グリースペンシルのメッシュ化」があります。
このPie Menu Editorの機能の中に、グリースペンシル→メッシュ化を簡単にできる項目を追加しています。
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講座内ではPie Menu Editorを使用しないでメッシュ化する方法も解説していますので、講座を確認したうえで購入を検討いただいても良いと思いますが、効率化にとても強力なアドオンですのでとてもオススメです。
【Pie Menu Editorとグリースペンシル機能、Blenderバージョンの注意点】
Pie Menu Editor は、しばらく更新が行われていないアドオンですので今後のバージョンアップで正しく機能しなくなる可能性を含んでいます。
またBlender4.3からはグリースペンシルがバージョンアップされていて、4.3では私の作成したPie Menu Editorのグリースペンシル関連の機能が正しく動作しません…。
講座を進める際には Blender4.2 を使用して頂ければと思います。
(Blender4.3からのグリースペンシルの機能はまだ更新中のようでして、私のワークフローに必要な操作がまだ行えない内容があります。機能が揃ってきた際にはPie Menu Editor 側のアップデートも行いたいと考えています)
2. 変更されているショートカット
初期設定からショートカットを変更してしまうと、ネットで調べづらくなるというデメリットもありますが、効率化のためにはキーマップの変更も欠かせません。
アドオン「Easy Custom Pie and Keymap」を追加することによってもショートカットキーの追加・変更が行われますが、合わせて私の方でもいくつかショートカットを追加しています。
講義の中では設定済みのキーマップの配布を行っています。
できるだけ基本のショートカットはそのままにしたいと思いつつも効率化のために変更・設定した部分がありますので、変更部分を書き留めておきたいと思います。
--- 表示 ---
・Shift+Alt+X* … ギズモ・グリッド 表示/非表示
・Ctrl+Shift+Alt+Space … ビューを全画面表示 ※初期設定では「Ctrl+Alt+Space」
・V* … ビューを変更するパイメニュー
--- 視点操作 ---
・ F(Ctrl+Alt+中ボタンクリック)*… 選択しているオブジェクトにフォーカス
・マウス右ドラッグ、Shift+マウス中ボタンドラッグ … ビューを回転
・中ボタンドラッグ … ビューを移動
・0(キーボード) … カメラ始点に変更/戻す
・Shift+Alt+E* … カメラビュー中にビュー操作を可能にするチェックボックス ON/OFF
--- 基本操作/共通操作 ---
・Space … 移動
・Q … モードを転送 ※初期設定では「Alt+Q」
・Alt+Q … お気に入りツール ※初期設定では「Q」
・Ctrl+Shift+右クリック* … 原点を移動
・Ctrl+Alt+Space* … 移動・回転パイメニュー
--- エディットモード ---
・左ダブルクリック … リンクするものを全選択
・Shift+F … 面を貼る ※初期設定では「F」
・Ctrl+Shift+[ | Ctrl+Shift+] … 選択を拡大/縮小
・Shift+B* … 辺ループのブリッジ
・Alt+V … 切り裂き ※初期設定では「V」
・プロポーショナル編集ONの時に [ もしくは ] … プロポーショナルの影響を拡大/縮小
--- カーブ ---
・Ctrl+R … 細分化
--- グリースペンシル ---
・W … レイヤー表示切替ポップアップ表示(押している間)
・Ctrl+Shift+R … 非アクティブレイヤーを自動ロック ON/OFF
--- タイムライン ---
・F1 … 再生/停止
・1 … 前のフレームへ
・2 … 次のフレームへ
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* がついているショートカットに関しては、Easy Custom Pie and Keymap によって追加されます
3. セットアップファイル+オリジナルマテリアル
講座で配布するセットアップファイルには、講座のポイントである「色選びを容易にする」マテリアルと設定を含んでいます。
セットアップファイルを開くと、オリジナルマテリアルが作成されていて、複数のノード(機能を持った四角いブロック)が接続されています。
まずは難しいことを考えず、オリジナルマテリアルを使用することで色の選択・調整がだいぶ楽になるのではと思います。
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このセットアップファイルでは、背景の色とマテリアルに落ちる影色を別々に指定できるようにしています。
色の設定には、一旦メインのライトの方向(影の落ちる方向)のみを考えて、ペイントソフトのように付けたい色を設定していきます。
(ライト自体の色や強さ、画面全体の色のことは後で考えて設定します)
セットアップファイルとオリジナルマテリアルでは以下のようなことが行えるようになっています。
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・背景色の変更
・全体の影色の変更
・マテリアルごとの影色の変更
・ハイライトの調整
・メインカラーと影の境界の調整
・透明度の変更
…など
ペイントソフトと全く同じ…とはいきませんが、「このオブジェクトはこの色にしたい」がしやすくなっていると思います。
私の講座内ではこのマテリアルを作成することがひとつのハードルとなると考えましたので、マテリアルについての解説はこのオリジナルマテリアルの使用方法とノードの基本の操作・使い方のみに絞っています。
このオリジナルマテリアルの作り方には触れていない点にはご留意ください。
マテリアルとノードについても情報が多く学ぶことがとても大変な部分ですが、とても奥深く表現を広げることのできる面白い部分でもあると思います。
この講座はどのような方に有益なものになるか

細かい部分のお話もしてきましたが、改めてどのような方に有益な情報として届けることができそうか考えてみました。
Blenderのツールの操作や設定に戸惑いなかなかスタートできない方
絵を描く感覚の延長で3D制作を始めたい方
まずはできるだけ簡単に人物キャラクターを作ってみたいと考えている方
(私の作品の作り方に興味を持っていただけた方)
もし当てはまる内容があるようでしたら、ぜひ Coloso講座ページ をご覧いただき受講をご検討いただけたらうれしいです。
決して安い講座ではありませんが、今の私の知識と制作工程をまとめて同じ手順を追いながら制作していける講座にしました。
ページの先にお試し動画もありますのでご覧いただけたら幸いです。
「4. 私の作品の作り方に興味を持っていただけた方」に関しては私のYouTubeチャンネル「そちペン|SOCHI PEN」にタイムラプス動画をアップしていますので、少しではありますが制作過程が覗けるかと思います。
最後に
長文となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
最後になりますが、私のBlender習得にはたくさんのネットの情報の他にも、2人の先生に大変お世話になりました。ぜひ紹介させてください。
1人目は、GAKU先生
2人目は、Azusa先生
Happy #PortfolioDay ! My name is Azusa and I’m a feelance visdev artist who loves sketching in 3d !✨ pic.twitter.com/Yb4Lv9hOHk
— Azusa Tojo (@azuubanana) January 9, 2024
お二人ともBlenderを使ってとても素敵な作品を作られるアーティストです。
ふたりの先生のBlender学習のオンラインクラスに参加したことで表現の幅や制作の中で考えられる幅がとても広がりました。
今回の講座制作のお話を頂けたのも、GAKU先生とAzusa先生からの学びがあったからだと思います。
改めて素敵な機会をありがとうございました。
Blenderをより深く学んでいきたい方には、お二人のクラスの参加もオススメします。(開催時期や詳細などに関してはお二人のSNSをぜひチェックしていってください)
これからもBlenderを学びつつ作品作りを楽しみながら続けていきます。
YouTubeの更新と合わせて情報発信も少しずつでもできるように頑張っていけたらなと思います。
(お仕事のご相談もありましたらぜひよろしくお願いいたします✉)
あさみや工房でした。
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