忘れない、でも思い出さない

あたしが忘れはじめた時があなたの思い出す時かもしれない
そう、思えば離れられなかった
あの時の快感を忘れられないまま
閉じられていた記憶のフォルダ
誰も上書きすることも書き換えることもない新しいフォルダもまだ見当たらなかった

文字にするのは苦しい過去形と現在進行形
めまぐるしく変化する環境に付随する感情
自分でさえ干渉できない域になれば
いっそ何にでもなれると
自立できない人間が野望に満ちた
理性の薄れたモンスターの誕生だ
界隈に抱く不安と期待
幾数もの視点で格差のある社会
ダイバーシティな世の中に存在感を映す
当てはめることすら憚られ
こだわることすら諦めさせられた
”そう“なりたいという思考を殺されることが不公平だと示したかった
選択権すら与えられない
共感なんて無意味だった
誰かが言った“将来の選択肢のための勉学”
今望むあたしには役に立たなかったようだ
思考回路を手土産に離れていった

いつか、いつの日か
生きたい姿で生きてみる
ありたい感情で表現してみる
思い出さなくてもいいから

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