カリウム補正に悩んだ研修医のあの日(改訂第4版)
私が研修医だったある日,指導医の先生からの簡単な指示をもらった。
「患者さんのカリウムが低いから補正しといてよ」
電解質の補正なんてありふれた治療であり,そんな難しい仕事じゃないと思っていた。しかし,いざやれと言われるとやり方がわからない。それどころか「カリウムのワンショット(急速)静注は禁忌」という呪いにかかっていた私は,たちまち身動きが取れなくなった。下手なことをして患者さんが死んでしまうかもしれない。しかし指導医は忙しい。簡単に聞きに行ける雰囲気でもない。そんなこんなでカリウム補正の悩みで丸一日悩んだ思い出がある。
人間の重要な電解質の中にカリウムがある。カリウムは高すぎても低すぎてもよくない。また急激な補正は死を招くことがあり,「カリウムのワンショット(急速)静注は禁忌」というのは医師国家試験を受ける医学生の間では常識である。
今回はそんなカリウム補正をまとめた。
これさえ読めばカリウム異常の治療は怖くなくなるだろう。
高K血症:なぜ危ない(致死的)のか?
高カリウム血症は致死的である。
これは誰しも知っている。ではなぜ致死的なのか?ここをおさえることが治療につながる。
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