「治療」のために「異常」をつくる妙技
まずは先日のニュースから。
井戸水を使用して新生児にメトヘモグロビン血症が発症したというニュース。
メトヘモグロビン血症とはなんぞや
メトヘモグロビン血症とは,ヘモグロビンの変形系で,ヘモグロビンを構成する「ヘム」の中の鉄の一部が,第一鉄(Fe2+)から第二鉄(Fe3+)に酸化されたものだ。メトヘモグロビンの 3 価の鉄は可逆的な酸素への結合ができない。そうなるとメトヘモグロビンの濃度が増加した患者の血液は,機能的な貧血状態となる。
先のニュースで問題になったのはこの状態だ。
メトヘモグロビン血症には先天性のものと後天性のものがある。もちろん後天性のものは外的な要因,つまり先のニュースでの井戸水や自殺目的の薬物摂取でもなることがある。
メトヘモグロビンは血液ガス分析でその割合を知ることができ,30% を超えると治療対象、50% を超えると致死的な状態となる。治療としてはメチレンブルーという薬剤を投与することがあるが,もっとも重要なのは被疑薬を中止したり,暴露から避けることだ。
毒をもって毒を制す?
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