文化財IPMと文化財害虫検索サイト
先日あった学会で「文化財害虫検索サイト」が開設されたことを知りました。
よく調べてみるとすでにニュースになっていたので、情報収集が遅かったことを知りました…。
東京文化財研究所で「文化財害虫検索」
虫の特徴(チェックボックス式)、
虫の名前、
被害材、
分類
から検索できます。
また対処方法も掲載されているので、害虫被害が心配な方
すでに虫を発見してしまった方には有効なサイトだと思います。
虫害の対策として、実施されていた燻蒸剤に使用されてきた臭化メチルの使用が全廃され(2004年末)、酸化エチレンは発がん性物質のため、2003年より特定化学物質に指定されたことから、これらを使用した燻蒸はむずかしくなりました。
さらに最近は「予防保存」の考えから、被害を未然に防ぐことを重点に置かれています。
そこで博物館などでは「文化財IPM(総合的有害生物管理 」に則った対策が取られています。
生物被害管理プログラムにおける5段階のコントロール
1 虫・カビを寄せ付けない効果的な清掃とクリーニング(回避)
2 害虫やネズミが侵入するルートの遮断(遮断)
3 早期発見が重要、またその記録は不可欠である(発見)
4 収蔵品に安全な方法をとる(対処)
5 安全な収蔵空間に作品を戻して復帰(復帰)
IPMにおいては1、2の段階が基本となります。
清潔な環境を維持する
建物の開口部や隙間より外部からの害虫などの侵入を防ぐ
展覧会などで新規に受け入れた文化財についてきた害虫が館内の収蔵庫などのエリアへの侵入を防ぐ
「目干し、虫干し」という言葉もありますが、よく見て(点検し)、空気の乾燥した時期には風を通してあげることも大事なことです。
季節を間違えると湿度によってカビの発生を呼んでしまうので、そこは気を付けなくてはいけませんが…。
長く良い状態を保てるようにできることから始めましょう