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絵画の中の本と筆記用具        

はじめに

数年前から始めて、休んで、また始めて、ということを繰り返しながら
続けてきた「絵画の中の本を再現する」というテーマ。
論文を書くというほどすごいものではなく、制作ノートを作るというくらいの気持ちで始めました。
趣味と研究の真ん中という感じです。

本が描かれた絵画作品はたくさんあります。
そこには、様々の意味があり、聖人を表す、知識の象徴など、本が描かれたことで作品の意味が理解できます。
また静物画のモチーフとして描かれることもあります。
最近は名画の中の〇〇という本も多くあり、タイトルを模倣するようでなんだか申し訳ない気がしていたのですが、他に書きようのないタイトルなので
絵画の中の本としました。
いろいろ調べていると本だけでなく筆記用具の変化も気になってしまい、
筆記用具が描かれた作品もともに調べるようになりました。

上で書いたように、そもそもは描かれた本を再現できるかというところから調べ始めたのですが、
今年の春ついに1冊制作することができました。ここまで2年くらいかかっています…。
しかし、どうもしっくりこない。
表紙の色、本の大きさ、違うんですよね。
作品の寸法から本の大きさを推測してみたり、描かれた時代の製本について
調べてみたり、気になることは調べたのですが、どうにもしっくりこない。
これは、一から考え直しだ、ということでまた振り出しに戻りました。

それがこの作品
ジュゼッペ・マリア・クレスピの「書棚」


青い線で囲んだ本が再現予定本

そして作ったものがこちら。

試作1冊目

表紙の色が全く異なります。
これは古色の問題もあるので、染色しようと思いつつ、その作業は
未だに手を付けていません。
背バンドの見え方も違います。
そもそも、本の大きさと製本方法が違うのではないかと、
もう一度調べ直しの予定。
並行して別の作品作りをしようと考えているため、次作を計画中です。
再現したい本はいくつもあるので、作品紹介をしつつ、作業を始めたら
文章を追加していく形でnoteで発表していくつもりです。

筆記用具についても、同じように作品を紹介し、描かれたモノについて調べたことをまとめつつ、筆記用具と絵画の描かれた時代の特徴を見つけていこうと考えています。
例えば、ポンペイの壁画に描かれた筆記用具。

書字板と尖筆を持つ女性
「ポンペイ展」で撮影

手に持っている書字板はロウ板。それに尖筆で文字を書いていたのでしょう。ロウ板は、紙以前の書写材料として聞いたことがあるかもしれません。
紀元50~70年頃に描かれたと言われるこの作品。まだ製紙法はヨーロッパに伝わっていません。紙以前の書写材料ですね。

描かれた本を探していたら、筆記用具も気になってしまったので、こちらも少しずつ進めます。

今回はプロローグというのでしょうか。
「絵画の中の本と筆記用具」が、どんなことをまとめたものなのか、
何を作ろうとしているのか、目的を語らせていただきました。
今回紹介したクレスピの「書棚」の再現についても改めて記事にします。


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