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圧倒的な質の優位性、ラヒーム・スターリング。 チェルシーvsバーンリー

プレミアリーグ第8節  チェルシーvsバーンリーの一戦。
スタートは以下の通り。

お互いに表記としては4-3-3の配置。
そこからチェルシーは可変して以下のようになる事が多かった。

目的としては相手VOを引き出して、ひっくり返す事を狙いとしていた印象。
前半はエンソがカイセドの近くにいる事が多く、バーンリー中盤のベルゲやブラウンヒルを引き出して、空けたスペースにギャラガーやパルマーが入ることが多かった。
幅要員は両SBのコルウィルとククレジャ。左サイドのコルウィルが持った時は、スターリングが足元やDFライン背後へのパスコースとなるのでスムーズに前進できるシーンが見られた。配置に加え、3人のローテーションで相手に戸惑いを与えた事も効果的に前進できた理由の一つだと考えられる。前半の同点弾もスターリングが外に張ったところから生まれた。
一方右サイドのククレジャが持った時はパルマーの位置が真横や遠い場所にいることが多く、効果的に前進する事は少なかった。パルマーの位置に加え、CFのブロヤも中央に留まり続けた事もスムーズに行かなかった要因の一つだと考えられる(後半から入るジャクソンの方が動きの幅があった印象)。

バーンリーは4-3-3から3-3-4のような形に可変。右SBのビチーニョと左SBのテイラーが中盤に、IHのベルゲが1列落ちて2CBと並ぶ立ち位置を取る。
右サイドはベルゲ-オドベール-ビチーニョへのレイオフで、チェルシー中盤を剥がす事に成功。実際に先制点のシーン、その後の決定機など効果的にチャンスを作り出す事に成功していた。
左サイドはWGトレゾールがチェルシーSBククレジャをロック。CBデルクロワとSBテイラーでパルマーに対して2vs1を作り、テイラーが起点になるシーンが多かった。

勝負の後半。圧倒的な質を見せつけたスターリング。

後半に入り、チェルシーとバーンリーはそれぞれ1人ずつ選手交代。
チェルシーはCFのブロヤ→ジャクソンに、バーンリーは右CBのアルダキル→オシェイに変更。
そしてチェルシーはポジションより固定し、明確に4-3-3の配置。
前半は「選手の判断:チームとしての枠組み」が3:7ほどに対して
後半はその割合が7:3ほどに逆転した事でボールの循環がスムーズになった印象。
監督が選手に自由度を与えている可能性も十分にあるので、前半が悪い・後半が良い、という単純な話ではありません。前半を終えてバーンリーのゴールに1番迫れていた「スターリングがビチーニョに1vs1を仕掛けてチャンスを作る」という目的をとその方法であるシステム変更を、ポチェッティーノ監督がチーム全体に明確に共有した事がこの試合における1番の分岐点だったのかなと思っています。実際に後半のスターリングはPKを獲得し、自分でもゴールを奪うなど圧倒的な質的優位を見せつけました。

守備面では右サイドの守備を微調整。基本的には2つ方法があったと思っています。
1つ目の方法はパルマーがテイラーへのパスコースを切って対応した事。左サイドのスターリングも何回か見られた形です。前半はブラウンヒルなど内側へのパスコースを気にして外に誘導していましたが、後半は割り切って中に誘導してテイラーに入れさせない事を徹底していました。

2つ目の方法はDFラインの横スライドを早くした事。特に1つ目の方法でパルマーが制限をかけきれなかった時に多いように見受けられました。
前半はククレジャがトレゾールを気にしてテイラーにアプローチできていなかった所を、①パルマーの外切り②DFラインの横スライドによって解決。
後半、CBのディサシがトレゾールを管理する場面が前半よりも見られました。

後半はチェルシーが戦術的変更もあって3得点し、4-1で試合終了。
結果的にはバーンリーはホーム戦5連敗となってしまいましたが、チームとしての方向性は非常に面白く、前半はバーンリーの方が思い通りに行っていた印象です。ピッチ内の選手が同じ絵を描いており、悲観する内容ではなかったと思いますが、今回のように個人の差が出てしまう局面(特に守備時)に持っていかれると後手を踏んでしまう所を修正する必要があります。


今回初めて、マッチレビューを作ってみましたが、文章の推敲が非常に難しく、勉強になる事が非常に多くありました。週に2回はあげたいと思っていますので、もし参考になった・応援してくださる方はいいねを押していただけますと非常に嬉しいです!

次回はアーセナルvsシティになると思います。
こちらもめちゃくちゃ面白い試合でしたね。
個人的に好きなシーンは「ドクのドリブルは独特ですね、ドクだけに。」(解説の林陵平さん)です。


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