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発達理論-(1)「斬成的発達理論」エリクソン

1.理論の概要
~階層的発達理論、順序的発達理論~

発達=個人の心身、社会的関係の変化や変容

《発達を構成する要素》
・成長/老化
:個人の機能や身体的要素を獲得したり、喪失したりすること
・成熟:周囲の環境とは無関係に心身が発達することによって、生殖能力を持つこと
・学習:個人が周囲の環境から様々な情報を個人の内部に取り込み、理解を通して行動や態度を調整すること

《発達観》
※1970年代以降、心理学領域でC(生涯にわたる変化の過程としての発達)の研究が進んでいる

a.成長過程としての発達
生物学的な変化を基盤に体重や身長等、量的に測定できる要素が増加する過程を捉える。
成人期以降~加齢による衰退は、発達ではなく老化とする。

b.分化-統合過程としての発達
ある構造が変換して別な構造へと再体制化を繰り返す過程を捉える。
成人期以降も発達は継続する。

c.生涯にわたる変化の過程としての発達
増加や増大という獲得だけでなく、老化に含まれる喪失の過程・役割の移行等も含む過程を捉える。

大きく以下の2つに大別される。

【階層的発達理論】
発達は上昇的ないし階層的順序で進むという考え方
主な理論家:ピアジェ、コールバーグ

【順序的発達理論】
発達段階はそれ以前の段階より高い/優れている訳ではないが、各発達段階はそれに先行する段階の積み重ねであり、その次の段階をも内包しているという考え方
主な理論家:エリクソン、レビンソン

《身体の発達》
・第一次性徴
:誕生時の生殖器の形態による性の決定
・第一の発育スパート:生後1~2年の身体の成長が最も著しい時期
・第二の発育スパート:10代前後の発育量が急増する時期
・第二次性徴(青年期):ホルモンの分泌が見られ、生殖器の形態以外での性差が顕著になる時期
・成人期:骨端線閉鎖により成長~老化フェーズへ緩やかに移行する時期
・更年期:女性ホルモン・エストロゲンの分泌のバランスが崩れて閉経し、男性ホルモン・テストステロンの分泌が減少する時期

《知能の発達》
ピアジェによる「階層的発達観」を反映している
(上記《発達観》b.分化-統合過程としての発達の捉え方)

・個人は行為を通して主体と環境との相互作用の中から自己と外界という2つの世界を構成し、それが適応的に構成された状態を「均衡」と呼ぶ。

・均衡を生み出す為に「同化」(自分自身の行動の中に外界を取り入れること)と、「調節」(外界に応じて自分自身の行動を変えていくこと)を行う。

・人は新たに出合った外界に対して「同化」→「調節」を順番に繰り返す。

<知能の発達過程>
①感覚運動期
(0~2歳):対象の永続性の概念を獲得
②前操作期(2~7歳):模倣やごっこ遊び等、記号的機能が生じる
他者の視点に立って事象を理解できない(自己中心性)
③具体的操作期(7~12歳):数や量の保存概念が成立し、可逆的に操作することも可能となる
抽象的思考は出来ない
④形成的操作期(12歳~):形式的・抽象的操作、論理的思考が可能

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