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ここまで来た!管理職は「公募制」にせよという理由!導入事例を追う。
管理職の不人気が止まらない。
管理職は就任後1年~3年後に健康状態が悪化する(心身を損ねた人は7割)という具体的なデータもあります。年収がさほど上がるわけでもなく、身を粉にして会社のために働きたくない!という社員が増えているようです。
管理職になりたくない人は8割という統計も。
一方で、「ぜひ、若いうちから管理職になりたい!」という層がいるのも確かです。この意向の2極化をうまくとらえる施策として
管理職公募制とは
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管理職「公募制」を導入したらどうでしょう。
管理職公募制とは、企業が管理職(課長、部長、マネージャーなど)のポジションを社内外から広く募集し、選考を経て任命する仕組みのことを指します。従来の日本企業では、年功序列や社内昇進の慣習が強く、管理職は内部昇格で決まることが多いですが、公募制では年齢や経歴に関係なく、実力・適性のある人材を登用することが可能になります。
おそらく、多くの老舗の日本企業ほど、
「え?管理職は、上の方から選んでいただくものだ」という固定観念が残りそうですが、以下のテルモ様の例をみると、20代でも管理職、公募制となっている施策を取り入れられていて、この施策は一定の広がりを見せています。
とても斬新な取り組みですね。
■以下記事ご参考。
日本企業の「脱・年功」が加速している。テルモやリコーが相次ぎ20代でも管理職になれる制度を導入。若手の意欲向上や組織の活性化につなげる。商社や金融にも同種の取り組みが広がる。グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むなか、変化に対応できるリーダー人材の早期の選抜・育成が求められている。
管理職公募制のメリット・デメリットとは
管理職を公募制にするメリット・デメリットは以下が挙げられそうです。
メリット
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1.多様な人材の登用が可能
社内外から幅広い候補者を募ることで、多様な経験や視点を持つ人材を登用できる。既存の縦割り組織の弊害を打破し、革新的なマネジメントが期待できます。
2.社員のモチベーション向上
社内公募の場合、誰にでも管理職のチャンスがあるため、社員のキャリア意識やモチベーションが高まります。
透明性が高まり、「年功序列ではなく実力で評価される」という風土が醸成されるかもしれません。新しい視点・改革が生まれやすいとされています。
また、外部人材を登用することで、従来の慣習にとらわれない新しいマネジメントが可能です。組織の硬直化を防ぎ、業務の効率化や業績向上につながる可能性があります。
3.組織の活性化
人事評価が公正になり、社員の納得感が増すことで、組織全体の活性化が期待できます。「ポストが空くのを待つ」文化ではなく、挑戦を促す文化が育つかもしれません。
4.適材適所の実現
ポストに適した人材を選定できるため、従来の人事異動による「管理職に不適格な人の配置」を防ぐことができます。
デメリット
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1.即戦力にならない可能性
社外公募の場合、企業文化や業務フローを理解するまでに時間がかかり、短期的には生産性が低下するリスクがあります。
管理職経験がない社内人材が選ばれた場合、リーダーシップ不足や業務遂行の難しさが出る可能性もあります。
2.内部の不満・競争の激化
これまでの昇進ルールが変わることで、既存社員からの不満が出る可能性がります。特に長年勤務している社員が外部から来た管理職に不満を持つと、組織の団結力が低下する恐れがあります。
3.公平性の担保が難しい
公募プロセスが不透明だったり、特定の人を優遇するような選考が行われた場合、社員の不信感を招く可能性があります。
人事のバイアス(知名度のある候補者を優先するなど)が影響し、公平な選考が行われないリスクがあります。
4.人材流出の可能性
公募で選ばれなかった社員が「自分は評価されなかった」と感じて転職を考える可能性があります。逆に、公募で採用された管理職が短期間で退職してしまうと、組織が混乱するリスクがあります。
5.組織の安定性が損なわれるリスク
短期間で管理職が入れ替わることで、組織としての一貫性が失われる可能性があります。特に日本企業では、長年の関係性や暗黙の了解が業務遂行に影響を与えることが多いため、文化のミスマッチが生じることもあります。
まとめ
公募制の導入は、企業の成長や変革を促す有効な手段となりますが、適切な制度設計が不可欠でしょう。特に以下の点を事前に整備することで、デメリットを最小限に抑えることが可能です。
✅ 選考基準の明確化(実力主義・公平性を確保)
✅ 社内外のバランスを考慮した登用
✅ 公募管理職の研修・サポート体制の充実
✅ 社員の納得感を高めるためのコミュニケーション施策
企業の文化や目的に応じて、公募制を部分的に導入するか、全社的に適用するかを慎重に検討する必要があります。