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なぜ、いま多文化理解力なのか?~外国人が日本で働きたくないわけ


異文化理解(多文化理解力)って何?


今までいわゆる異文化理解、比較文化という領域は、一部の海外勤務を志向する方々や、文化に興味がある方々のための学問のような位置づけだったかもしれません。

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最近では、異文化理解よりも、広い概念、捉え方である「多文化理解」と言われ、注目されてます。

これからの時代は、グローバル化が一層加速して、世界中で多国籍化が進むと言われてます。

令和時代に入り、海外で働く日本人も一定数増加傾向にありますし、逆に人口減の日本へ働きに来る外国人の方は、激増するという予測があるためです。

例えば、現在の日本の生産人口を維持するためには年間25万人の外国人受け入れが必要と推定されていて(内閣府)、仮にそうなると、2060年には、1000万人、全人口の10%が外国人になっていることになります。(2060年の日本の全人口は1億人を下回っている統計です)Σ(・□・;)

日本にいながらにして、外国人と働くのがごく日常になっていくのです。現在でもそうではないでしょうか?コンビニや、飲食店では外国人(主に留学生と思われますが)の方を見かけない日はありませんし、オフィスでも部下が外国人、上司が外国人ということも実際に増えてきてます。

「多文化理解力」は、日本で暮らす誰にでも必要な能力となるのです。


日本における多文化理解力は?

しかし、日本では、この多文化理解力が曖昧に解釈されているのではないかと個人的には思います。

例えば、多文化(異文化)と言えば、「イスラムの人たちはお酒を飲んではいけないんだよね」「日本人がソバをたべるときにすする音を出してはいけないんだよね」と、もう知っているから大丈夫ですよ、と片付けられてしまうことも多いのです。

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多文化理解力というのは、単にマナーやしきたりの知識を持っているだけではありません(それも必要ではありますが)。多文化圏の人々と働いたり生活するうえで、どうしてそういった考え方をするのか、思考なのかを深く理解し、共感し、一緒にゴールを目指していく能力です。(^^)/

多文化理解の現実

例えば、日本人は、外国人と仕事をする際に、仕事の指示の仕方、動機付けが非常にあいまいです。「とりあえず、やっておいてね」的な指示が多く、外国の方は多くが混乱します。(特にホワイトカラーの企画・営業職など)

日本人同士なら、わさわさと集まって、ボトムアップで自ら仕事を定義して、上司とホウレンソウをしながら、隙間を埋めあって仕事をする感覚で進められますが、外国人は一般に違うのです。

これは、日本が世界でも極度のハイコンテクスト社会であり、どちらかというと世界標準のローコンテクスト型(Job型)ではなく、メンバーシップ型という所以です。この多文化理解の基本的なフレームワークを知っていないと、外国人の方とのコミュニケーションのすれ違いが起きてしまうのです。

上記の例(外国人の部下への指示)でいうと、しっかり仕事のScope(範囲)を伝えて、それに対する期待(ここまでやってほしい)を伝える、そして可能な限り、上司の方から進捗をフォローし、適宜アドバイスするのが、理想的な進め方です。(どちらかというと世界標準的なやり方です)

一部の日本人的な考え方では、仕事の範囲を明確にしてしまったら、「それ以外のことはやらないではないか、それでは困る!」「チームでの助け合いができないではないか!」と言われることがありますが、基本、「それ以外」のことをやるなら、Job型の考え方では、その分、基本給を上げるか、追加の賃金が必要となります。そうはしないまでも、最低、その都度、合意、コミュニケーションがいるはずです。

また、「仕事の範囲を明確にすること」と、「助け合わない」というのは別次元のことであり、実際は、仕事の範囲を超えて、助け合うということは、外資系企業でも見られることです。

「空いている時間があるなら、何でもやってほしい」という日本的なメンバーシップ型は、良くも悪くも、世界標準の働き方からは外れているという点などは、多文化理解の基本として知っておくと良いでしょう。


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こんな実例も

とある日系企業の経営者の方で、従業員の8割が外国人だという方より面白い話を聞きました。


「外国人の方は、言われたことしかやらない。でも、それがとてもいい。ちゃんと指示すれば、言われたことは100%完璧にやるし、それ以外のことを勝手にやらない」「日本人の中には、勝手に違う仕事をしてしまう人もいて、それで失敗しても咎められない風潮があり、生産性が上がりにくい」とのことでした。( ;∀;)

その他の多文化理解力

その他の多文化理解力で言えば、その他、「時間の認識の仕方」(モノクロニックやポリクロニックの考え方)、権威のレベル、意思決定のされ方等々でも、更に日本はかなり世界標準から外れたユニークな位置にあります。単一民族である日本人は、多文化理解力がなかなか習得しずらいのが実態です。

もちろん、世界標準から外れた位置にいるのが、悪いわけではありません。まず外れているという認識をすること、そして、違いを伝えながらコミュニケーションをしていくことは少なくとも必要になってくると思います。

先日も外国籍の方に、「日本で働きたいですか?」と聞いてみたのですが、「そうだね、観光だけならいいけど、働くのは遠慮したい」と言われました。昔は目を輝かせて、「日本で働きたいです」という外国の方が多かったと聞きましたが、今では選んでもらえるかどうか、という状態なのです。

働く先進国になるためには「多文化理解力」の向上も待ったなしの課題かもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。皆様のキャリア形成のヒントになれば幸いです。

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