なぜ、日本だけ「キャリア開発・デザイン室」があるの?海外にはない?
「え?キャリア開発室?キャリアデザイン室?何するの?」
海外から来た外国人は、日本の組織に結構驚きます。
最近、日本の会社(比較的大手)に増えてきた「キャリア開発室」または「キャリアデザイン室」。英語にすると「Career Development Div.」でしょうか。
この機能は、実は、海外だと一般的ではありません。なぜ、存在しないの?
なぜ、存在しないのか?
端的に言うと、企業の運営目的において、必要度が低いからです。企業は、売り上げを最大化、費用を最小化して、利潤増を目指します。
個々人のキャリアの事を考えてあげることが、直接的に、利益増や、コストダウンに直結するかというと、ドライに考えて、それはないという考え方です(かなり間接的にはあるかもというレベルです)
また、もう一つの理由として、「キャリア」は個人が考えるものであり、会社側が「おぜん立て」してあげるべきものではないという考え方です。
それこそ、自律していないじゃないかということですが、まあ、その通りでもありますね。
日本で特殊なのは、今まで、滅私奉公、年功序列文化の中、世界では稀なレベルで、キャリアの事を考えさせてこなかった(異動があれば、指示に従う。転勤があれば指示に従う)ので、
いくらなんでも、多少キャリアの事を考えたほうがモチベーションも上がるだろうというのも、ある意味理にかなっているのですが、海外では、後れを取りすぎてて、理解されません。
欧米の企業でキャリア開発室、キャリアデザイン室という組織は一般的にある?
欧米の企業では、「キャリア開発室」や「キャリアデザイン室」という日本特有の名称に相当する組織は必ずしも一般的ではありませんが、同じ目的を果たす部門や取り組みは存在します。
ただし、それらは異なる名称や形式で運営されていることが多いです。
主な名称と形式
Talent Development (タレント開発部門)
社員のスキルアップ、リーダーシップ育成、キャリアパス構築を目的とした部門。
「キャリア開発室」に近い機能を持つ場合が多い。
Learning and Development (L&D)
社内研修や教育プログラムを提供し、社員が成長する機会を提供。
キャリアデザインよりもスキル開発や教育に焦点を当てる。
Career Services
社員のキャリア相談を受けたり、キャリアパスのアドバイスを行う。
大規模企業や大学関連の組織で特に一般的だが、部レベルではない。
Organizational Development (組織開発部門)
社員のキャリア支援とともに、組織全体の成長戦略と調和する形での人材育成を推進。
HR Business Partner Model (HRBPモデル)
人事担当者が特定の部署や部門に対して、キャリア開発を含む幅広い人事サポートを提供。
日本と欧米の違い
欧米では個人主導
欧米企業ではキャリアデザインや開発は「個人主導」である場合が多く、企業はツールやプラットフォームを提供する形で支援します。一方で日本では、企業が体系的に社員のキャリアを設計・支援する文化が強いです。テクノロジーの活用
欧米では、キャリア開発のためにAIやオンラインプラットフォームを活用するケースが増えています(例:LinkedIn LearningやUdemy)。ワークショップやコーチング
社員のキャリアデザイン支援として、定期的なワークショップや個別コーチングが一般的に行われます。
まとめ
欧米企業においては、「キャリア開発」や「キャリアデザイン」を支援する取り組みはあるにはありますが、部門の名称やアプローチは日本と異なり、個人主導型で柔軟な形式が多いのが特徴です。