ラーケーションの課題・デメリットと克服法とは。
★この記事の執筆者:りお('▽')|国家資格キャリアコンサルタント|海外にてラーケーション型プログラムを体験し、その面白さから2020年よりラーケーションについてマガジン初執筆|ラーケーション・ラボ(Since2020)にて、相談・イベント開催中|Wikipediaで参照先1位 ラーケーション - Wik
ラーケーションとは、子どもの学び(ラーニング)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語です。
愛知県を皮切りに「ラーケーション」を導入する自治体がじわり増え、全国で新たな展開を迎えつつあります。
先陣を切ったのは愛知県と大分県別府市で、2023年度から始まった制度ですが、2024年度は茨城県、別府市、同様に観光が基幹産業である栃木県日光市、沖縄県座間味村にも波及しています。本格導入から1年以上たち、普及や推進の課題・デメリットは何かと克服法を考えていきます。
ラーケーションの課題(デメリット)
1.学習進度への対応
2.公平性への対応
3.効果への対応と検証
順番に解説しましょう。
1.学習進度への対応
まず、ラーケーション休暇が3日なり5日なり与えられたとして、その間、子供は学校を休むことになり、その間の学習進度をどうするか?という問題があります。もちろん、その間の分の授業は、自己学習として後ほど自分で取り戻す必要があるという課題があるでしょう。
この克服にあたっては、その分の補習体制を学校側、保護者側も共同で対応していくほかないのですが、そもそも、学校の1日、2日の授業が出られないことを学習の進度の遅れと捉えるのが、とても日本的だと思われます。
海外においては、もっと、課外活動や自主的な活動で休む子も多く、それが、子供の視野や知見の拡大に寄与しています。机にかじりついて、授業を聞くこと以外のメリットをラーケーションに見出すことも大事かもしれません。
2.公平性への対応
次に公平性の問題です。これは、家庭事情により、ラーケーションをとれる家庭と、取れない家庭が出てくるという問題です。家庭の勤務先の事情、または、収入状況などで、公平性に問題が出てくるというケースです。
そもそもラーケーションとは、長期間にわたって海外に贅沢な旅行にいくこと=学びではありません。比較的、日常から離れ、非日常を体験することで得られる学びが主体となります。
もちろん、だからといって、実際には東京のディズニーランドで2泊するなどの家庭もいると思いますが、それをいったら、夏休みだって、正月休みだって、行き先が家庭によって違うことの格差はあります。ラーケーションだけの特有の問題ではないでしょう。
例えば、外部団体が年間1日くらいをラーケーションの日として、子供たちを近場のツーリズムに連れて行くなどの取り組みがあってもいいかもしれません。
3.効果への対応と検証
また、そもそも効果があるのか?という問題です。ディズニーランドなどにいって遊んでいるだけではないか?という指摘に対する問題です。もちろん、効果の検証は必要でしょう。
この問題について、すぐにその効果を定量的に示せるわけではないので、効果の検証はすぐには難しいこともあります。一般的に言えば、ラーケーションをとれた家庭は良かったと答えるでしょうか、取れなかった家庭は良くなかったと答えるでしょう。
その効果については、その子供の行動の変化や、キャリア意識の変化などを今後定期的に追跡していく必要はありそうです。
また、子供も、「遊んできた」という記憶だけではもったいないので、その後も、そこで学んだことを言語化したり、行動に移す工夫は必要でしょう。
まとめ
ラーケーションの課題・デメリットは存在しますが、各自治体については、それを上回るメリットがあるという確信で、制度の導入をしているのではないでしょうか。
ここ30年、40年と続く日本の競争力の低下、少子化、生産性の低下、これをとっても、子供のうちに、何か変えなくてはいけない!のは明白です。まずは、小さなラーケーション体験から。子供のうちの小さな刺激が、何か大きな変化を生むかもしれません。これをバタフライエフェクトともいいます。
子供たちに非日常体験を。