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エロティシズム

暗い部屋の中、蝋燭の光が揺れている。その明かりは、彼女の裸の肩を柔らかく照らし出し、影を際立たせていた。部屋の空気は湿り気を帯び、酒と汗の匂いが漂っている。

「ここでは時間は意味を持たないのよ」
彼女は囁いた。声は低く、まるで自分自身に言い聞かせるようだった。

私は答えなかった。ただ、彼女の言葉が私の中に波紋を広げるのを感じていた。その波紋の中心には、言葉では表せない感覚があった。欲望と恐怖、快楽と死の狭間に立たされるような感覚だ。

彼女は私の手を取り、ゆっくりと自分の胸に導いた。その動きは挑発的でありながら、どこか儀式的でもあった。触れた肌の温かさに、私は息を飲む。だが、その温かさは次第に冷たさを帯びていくように感じられた。

「触れることは破壊よ」
彼女は静かに言った。その言葉は、私の中に潜む倫理や理性を揺さぶった。

「破壊?」

「そう。触れるたびに、私たちは自分自身を壊しているの」

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