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12日間で歩くサンティアゴ巡礼〜ポルトガルの道

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ポルトからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで歩いた12日間の記録(2023年5月)。編集方針:起こったことをできるだけ時系列で記録。巡礼中に出くわす様々な考えや迷い、後悔を記す…
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【0日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Lisboa→Porto 出発の地へ

巡礼旅の先輩に出会う 僕はすでに宿(Independente Príncipe Real)に2泊していた。ドミトリーは天井の高い部屋に3段ベッドを入れてあった。男女ミックスルームで、アメリカ人や南米人3人組などが同室で後に韓国人の若い女性が入った。 この韓国人のイニョンは偶然にもコンポステーラ巡礼の経験者だった。しかもなんとフランスの道で飽き足らず、ポルトからのポルトガル海岸路も踏破していた。それでさらに驚くのは7日間で歩いたというのだ。最低でも10日くらいという道をだ。

【1日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Porto→Vila Chã 大西洋ジョーク

20230518 起床後ポルトの町を散歩する。カテドラルの下町から坂道をゆくと街を一望できるところに出くわしたりもする。写真を撮っていると第一巡礼者の青年が現れた。どこから来たのか不思議だが、この早朝にポルトについたのらしい。聞けばファティマから巡礼を始めたという。 携帯をかざしてパノラマを収めているといると、彼も僕のマネをして写真を撮り、風景をたっぷり観察していった。 何気ない会話によれば「できるだけのんびり歩きたい」という。言葉に偽りはないのだろう。旅のはじまりに良い

【2日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Vila Chã→Póvoa de Varzim お菓子の国ポルトガル

2023/05/19(金) 6:00 6時起床。周りの人も動き始める。僕はキッチンに行き、湯を沸かし、カモミール茶を飲む。その間に20床とエクストラベッドの人たちはみな旅立っていった。6時台に出るのは気持ちよさそう。 8時半まで粘って日記を書く。銀行でお金が下ろせなくて困っていたのだが、ふと思い立ち、海外での現金引き落としができなくなっているのではないか? と調べてみることにした。コールセンターに電話してみると、確かに現金の引き落としはできない事になっていて、この電話で

【3日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Póvoa de Varzim →Marinhas それ食べ物じゃありません

2023/05/20(土) サルガッソ、それ食べ物じゃありません 6:45 まだ寝ている人に気を使いながら、身支度をして巡礼宿をでる。鍵をボックスにドロップして勝手に出ていくスタイルだ。 7:40 海岸で仕事する人に話しかける。サルガッソSargaço干しをしてるのだそうだ。用途を問えば畑にまいて肥料にするのだという。濡れたままのと乾いたのとを見せてくれた。これは昆布かな? ワカメかな? 日本人の悪い癖で食べられるのか咥えてみたら、食べるものじゃないとたしなめられた。

【4日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Marinhas→Viana do Castelo あなたの心お届けします

2023/05/21(日) 早起き? 成り行き? 5:20 起床、6時出発。早起きは苦痛ではない。すこし肌寒いがやがて暖かくなるだろう。 だいたい50代という年齢からも早起き傾向なのだが、それを差し引いても、宿では疲れた体を横たえるだけで、遅くまで起きている理由もないので必然、早起きになる。 海岸コースをたどってきた巡礼の道は、ここでしばし内陸にその行く先を向けた。 6:00 Marinhas→7:00 Belinho→8:40Castelo do Neiva→10:

【5日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 ポルトガルの道 Viana do Castelo→Vila Praia de Âncora 旅人は進み、とどまるネコは仕事をする

2023/05/22(月) 6:00 昨晩は夜中の1時に目を覚ましてそこから眠れなくなってしまった。時差ボケのせいか、お酒のせいか。頭も痛くてこれはなんとか休息と回復の手段を取らねばならない。とにかく次の宿はインターネットでの予約も受け付けてくれたので、のんびりたどり着けばいいかという目論見を持つ。 身支度を始めると、同室のアリソンがその僕に気が付き、声をかけてくれた。アリソンは70代の米国人女性だ。「実は眠れなかったんだ」と言ったら、「知ってた。ずっとゴソゴソとしてもん

【6日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Vila Praia de Âncora 旅のプランは夜決まる

2023/05/23(火) ヴィラ・プライア・デ・アンコラVila Praia de Âncora2泊目 朝の散歩 相部屋となったピーターは6時台に目を覚まし出ていった。寡黙なデンマーク人だった。 7:00 宿屋の前の海岸に行き、写真を撮ってみる。寒くはない程度で、春の心地よい風を首元で感じる。 ドイツ人の双子姉妹が出ていったので別れを告げた。 砂浜が白くてきれいなのは石の組成だろうか。よく見るとさまざまな石ころがある。白や茶色の石に混じって緑や黒もある。中にはげん

【7日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Vila Praia de Âncora → Vila Nova de Cerveira 渡し船の誘惑

旅ファッションに迷いはあるか 6:30 6時半起床 バックパックを詰めなおす。毎日やっているのに、まだ定まった形がないが、一昨日辺りからカメラバッグ(ミニ)を首掛けにして前に提げ、風呂敷サコッシュの中に入れてしまう方法で行ってみる。前に掛けるものが多いのだが、重いカメラを前にして、すぐ取り出せるようにしたのと、前後の重心のバランスを取ってみる。 台所で昨日買った食材でサンドイッチを3つ作る。ザ・タッチこと双子のドロとレベッカに別れを告げる。 あれ? 二人は昨日、出発し

【8日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Vila Nova de Cerveira → Tui 巡礼怪談

2023/05/25(木) あるイギリス人がリタイア後にアルベルゲを始める話 7:30 冷蔵庫のタマゴとトマトを使ってオムレツにして食べる。宿の冷蔵庫にあった食材を使わせてもらった。この辺には商店がないので、そういう心遣いも感じられる。これも使った分だけ払ってくれというスタイルだ。 昨晩はもう一泊もありだなと思っていたが、目が覚めてみると、歩いて前進したくなっていた。 ただその前に、聞いておきたい事もあった。宿の主人ローレンスの人生についてだ。折よく、彼が現れたので、

【9日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Tui→Redondela 星の巡礼

暗闇を歩き出すと獣道だった 2023/05/26(金) 4:00 目が冷めて、というか寝ていないから、もうこのまま起きて行動するべきか? と思い悩んで体を起こす。ベッドの仕切りの向こうには人など居なかった。「あれ? 女性の咳をしていたあの音は?」と背筋が寒くなった話は昨日した。 4:40 寝床から鳥の鳴き声を聞いている。いよいよでかけて良いかと判断した。準備開始。 4:55 出発。気温は15℃。 5:10 Tuiの街は城塞都市。山の稜線に南北に長く街が伸びている。そ

【10日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Redondela → Briallos 歴史と人々と

2023/05/27 気温は15℃から25℃。RedondelaからBriallos 36.6km 5:50出発 まだ暗い。谷間の町で上空に鉄道橋が架かっている。不思議な構造の町だ。 6:30 高台の休憩場所で昨日買ったパンとハムとチーズでサンドイッチを作る。 7:17 アルカーデArcade入り。ここまで一人で歩いてきて誰にも会わない。町に出てようやく前方に巡礼者現る。 7:40 カフェ・アクーニャCafe Acuñaでコーヒー一杯、チュロス付きを注文する。 うっ

【11日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Briallos → Padrón すべては下見です

2023/05/28 BriallosからPadrón 28km 薄明 6:00 起床、昨日は雨、そして到着が遅かったのもあり、洗濯物の乾きが悪い。インナーの速乾靴下にウールの靴下を重ね、ズボンの裾を折り上げる。 6:30出発 ブドウ畑の間の道をゆく。朝の湿り気。無風。白濁した空気。その条件のためか、液体の底を歩いているようだ。さっそくカメラを取り出す。 7:21 今日の第1巡礼者のカタツムリ氏を撮影。これまで被写体を見つけてもチャンスを逃すということはよくあった。ネ

【12日目|前編】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Padrón → Santiago de Compostela 道が終わるところ

2023/05/29(月) 奇跡を起こす泉 6:45 朝のキッチンでパンを食べ、身支度をした。今日この時間にここにいる者の多くは巡礼者で、これから歩いてサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂まで行く者たちだ。居合わせたイタリア人、ドイツ人らに別れを告げ、出発。 国道N-550号線にそった村々の中を通っていく。おおきな道には出ないで農村の小径を行く。主にブドウ畑だ。 8:00 昨日は雨だったので、洗濯物が乾かず。今朝は晴れてはいないが、雨でもない。そこで、この生乾き

【12日目|後編】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Santiago de Compostela 旅の終わりに

前編はこちら 【12日目|前編】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Padrón → Santiago de Compostela 道が終わるところ 最後の巡礼宿 いったん大聖堂前広場を後にし、宿を確保しに行くことにした。 15:20 トロンパス通りRua das Trompasを下ると、ワチャワチャと放課後の子どもたち。品の良さそうな子どもたちと横付けされるお迎えの車。名門校でもあるのだろう。制服の女子が戯れている。芝生の上でふざけている女の子がスカー