端山茂山奇譚(拾)
端山茂山奇譚(拾)
なんだあれは。
薄暗くぼうっとした霧みたいなものが、こちらに来る。
流れてくるような、もつれて転がるような・・・。
鳥たちが叫びながら逃げておる、
禍々しい気に満ちているな。
生臭い匂いだ。唸り声も聞こえる。
…ああ、生きておったものたちの、うらみつらみの念の塊か。
なんで、ここまで上がってきたのか。
…昨日からあの庵から聞こえてくる、音と声のせいか。
何かを祈っておる…雨乞いか?
雨乞いなのに、あんなものを呼んでしまっておる。
やり方を間違えたのだな。
ここまであやつらを呼び込むとは、すごい力だが。
まだまだ修行が足らぬのか、もしくは間違った修行をしてしまったのか。
まあとにかく、この禍々しいものたちをどうするか…これは見ものだ。
見物させてもらうとしよう。