喀痰吸引(6) 非侵襲的人工呼吸療法
口鼻マスク・鼻マスク
呼吸の補助が必要な人に対して、人工呼吸器から空気を送り込むために、口や鼻を覆った口鼻マスクや鼻のみを覆う鼻マスクを装着して呼吸を補助することを「非侵襲性人工呼吸補療法」と呼ぶ
これらのマスクは空気が多量に漏れ出さないように顔の皮膚に密着させてベルト(ヘッドストラップ)で顔の周りに固定するが、密着させすぎると皮膚の損傷にも繋がるため適度な装着を気を付ける
体位変換やおむつ交換時などのケアの場面では顔の向きや動作によってマスクがずれないように注意し、接触部の皮膚が赤くなっていないかも観察しつつ医師や看護師に連絡していく
マスクを取り外している間は、利用者に必要な酸素が送られないことになり、特に気管切開をしている人は口や鼻以外の気道が確保されているわけではないため、吸引や口腔内観察時などは、必要に応じて医師や看護師の判断のもと、鼻マスクに変更して空気の送り込みを確保する場合もある
留意点
口鼻マスクや鼻マスクを装着している場合にはマスクを通して、圧力をかけられた空気が送り込まれているため、先述したようにマスクを取り外している間は空気の供給量が不十分となっている
同様に適度に顔の皮膚に密着していなければ空気が漏れてしまい、十分な酸素が送り込まれないことになってしまう
実施前
それを踏まえた上で吸引を実施する前には人工呼吸器による呼吸の状態や口腔内・鼻腔内を観察することが重要で、他にも人工呼吸器の作動状況やマスクの位置、顔の接触部分の皮膚に異常がないかどうか観察する
そして実施前でこれらに異常を感じた場合は吸引前に医師や看護職に対処してもらうことが大切
実施時
気道切開している場合と異なり、他に空気の通り道を確保されていないため、吸引による嘔吐の誘発により気道が塞がれないように、顔を横にむけて姿勢を整えること
実施後
実施により一度酸素の送り込みが途絶えることにより呼吸状態に異常をきたす可能性があるので、マスクを装着する時は固定する位置や強さ、顔の接触部などの皮膚の状態などを確認する
人工呼吸器の空気の送り込みに伴って胸が上がっているかなども確認
吸引実施前と後で変化がないかの観察も行う