喀痰吸引実施手順(5) 喀痰吸引に伴うケア
痰を出しやすくするケア
痰を出しやすくするために重要な要素
①重力
痰のある位置を上にして重力を利用し、痰を排出しやすい位置に移動させる
②痰の粘性
痰をスムーズに排出するためには適度な粘性が必要である
気道粘膜のの繊毛運動による痰を排出しようとする働きには適度な湿性(保湿性、加湿性)が必要で、そのためには体液バランスを整えることが大切
③空気の量と速さ
咳の力のことを指す
咳は異物や分泌物を体外に排出するための防御反応の一つで、肺内の空気が気道を通じて爆発的に吹き出された状態である
体位を整えるケア
一般的に人は同一体位でいることに苦痛を感じ、それは身体的苦痛のみだけでなく、精神的にも苦痛を伴うことが多く、そのような苦痛を和らげるためにも体位の調整が必要となる
また同一体位が持続すると、組織循環の障害が引き起こされるリスクがあり、褥瘡や肺の障害などが生じる
喀痰吸引が必要な人の場合には、仰臥位のまま長時間臥床していると、背側の肺の奥に、痰が溜まるリスクがある
痰を出しやすくする姿勢(体位ドレナージ)
具体的には痰が溜まっている方を上にした姿勢
主な姿勢としては
・仰臥位
・腹臥位
・側臥位
・前方へ45度傾けた側臥位
・後方45度傾けた側臥位
口腔内のケア
口腔内には様々な常在菌が存在している
これらは口腔内に存在する分には感染症の原因にはならないが、下気道の方に侵入すると感染の原因になる
口が十分開かない場合や飲み込み、うがいができない場合もあるため、姿勢や退位を整え、誤って気管に流入することがないよう十分注意が必要
口腔内の常在菌は唾液の自浄作用や衛生習慣によって一定以上増加しないように保たれている
しかし吸引が必要な人や食事が十分に取れない人などの場合は唾液の分泌も減少し、自浄作用が低下することで細菌の感染・繁殖が起こりやすくなる状態になる
これにより、口臭・味覚の低下、誤嚥性肺炎を引き起こす原因となるため口腔ケアは重要
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