介護福祉士国試対策:発達と老化の理解
▼1ページでやりきっちゃおうと思います。今回も文字数がバリ多めです❗ とにかく、ゆっくりお読みくださいませ😊😊
▼今回は『発達と老化の理解』をとりあげます。まずは出題基準から。いちばん右側の「小項目(例示)」をご覧ください。
▼『発達と老化の理解』は、この表から明らかなように出題範囲が比較的少なめです。老化は疾病や介護と深い関係があるため、これらの項目のいくつかは『こころとからだのしくみ』『介護の基本』『生活支援技術』などの科目でも出題されます。
▼では、大まかな問題の出題パターンを整理してみます。がんばりましょう❗ 例によって、問題の解答はわざと示していません。見ているだけでは身につかないからです。きびしいようですが、面倒くさくても、いちいち調べて理解、暗記するようにしましょう。
1.発達理論をめぐる問題の出題パターン
(1)発達の要因に関する学説の内容を問う問題:
例)生得説とは、発達過程を、個人の中に潜在している可能性が、出生後に時間の経過とともに現れるという考えである。(老人・障害者の心理19-41-A)
例)経験説とは、遺伝の影響は最小限で、個人の発達過程は、育つ環境から得る経験によって大部分が決まるという考えである。(老人・障害者の心理19-41-B)
例)ピアジェは「輻輳説」を唱えた。(老人・障害者の心理22-41-4)
例)相互作用説は、初期経験や初期環境が発達過程に決定的な影響を与えるという考えである。(老人・障害者の心理19-41-D)
👉発達の要因に関する学説の問題は近年は出題されていません。
(2)発達段階説に関する問題:
例)ハヴィガーストの示した児童期(中期児童期)の発達課題に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解25-69)
1 排泄のコントロールを習得する
2 読み書き計算などの基礎的技能を習得する
3 両親や他の大人たちから情緒面で自立する
4 善悪の区別を習得する
5 社会的に責任のある行動をとる
例)ピアジェは、認識や思考の発達には4つの段階があることを明らかにした。(老人・障害者の心理17-41-A)
例)エリクソンの発達段階説では、3歳頃から6歳頃までは自発的行動を通して主体性の感覚を学ぶ段階である。(発達と老化の理解28-69-2)
例)エリクソンの発達段階説において、青年期の発達課題として正しいものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解29-69)
1 生殖性の獲得
2 信頼感の獲得
3 同一性の獲得
4 自発性の獲得
5 親密性の獲得
👉発達段階説は頻出です。あくまでも基本的事項を調べておきましょう。
(3)乳幼児の発達の内容を問う問題:
例)生後6か月頃にはつかまり立ちができるようになる。(発達と老化の理解31-69-2)
例)1歳頃に喃語を発するようになる。(発達と老化の理解34-70-2)
例)3歳頃に二語文を話すようになる。(発達と老化の理解34-70-5)
例)3歳頃に愛着(アタッチメント)が形成され始める。(発達と老化の理解31-69-5)
👉乳幼児の発達も頻出です。子育て経験のある方が圧倒的に有利です❗
👉愛着理論について必ず調べておきましょう。
2.欲求をめぐる問題の出題パターン
(1)一次的欲求と二次的欲求の内容を問う問題:
例)食事、排泄、運動や睡眠などの生理的欲求は一次的欲求に含まれる。(老人・障害者の心理18-42-C)
👉一次的欲求と二次的欲求の意味をそれぞれ調べておきましょう。
(2)マスローの欲求階層説の内容を問う問題:
例)マスローは欲求を4段階に分類した。(こころとからだのしくみ24-97-3)
例)欲求階層説の最下層にあるのは自己実現の欲求である。(こころとからだのしくみ24-97-2)
例)マスローの欲求階層説の最高層は、所属と愛情の欲求である。(老人・障害者の心理18-42-B)
例)生理的欲求とは、他者からの承認などの欲求である。(こころとからだのしくみ26-97-3)
👉欲求階層説は頻出で、なぜか『こころとからだのしくみ』で出題されることが多いです。
3.適応・防衛機制をめぐる問題の出題パターン
(1)ホメオスタシスの意味を問う問題:
例)何らかの障害により、行動の発現が妨げられ、そのうえ対処行動もうまくいかなかった場合に生じるのが「ホメオスターシス」である。(老人・障害者の心理20-43-C)
(2)防衛機制の種類と内容を問う問題:
例)強い不安や不快感から自分を守り、無意識的に現実へ適応しようとする自我の働きが「防衛機制」である。(老人・障害者の心理20-43-B)
例)合理化とは、自分に都合のよい理由をつけて、自分の立場を正当化しようとする機制である。(老人・障害者の心理12-38-B)
例)身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを補償という。(発達と老化の理解29-73-3)
例)受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。(発達と老化の理解29-73-2)
例)昇華とは、発達の未熟な段階に後戻りして自分を守ろうとすることである。(障害の理解27-93-4)
例)抑圧とは、受け入れ難い欲求あるいは感情を、意識の表面にあらわれないように無意識的に抑えて、心理的に安定を図ろうとする機制である。(老人・障害者の心理12-38-A)
例)退行とは、適当な理由をつけて自分を正当化することである。(障害の理解30-94-3)
例)身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的安定を図ろうとすることを、逃避という。(発達と老化の理解29-73-5)
👉これも頻出です。防衛機制の種類をチェックしておきましょう。
4.老化理論をめぐる問題の出題パターン
(1)老化理論の内容を問う問題:
例)老性自覚の出現年齢には個人差がある。(発達と老化の理解24-70-1)
例)暦年齢と老化現象とは必ずしも一致しない。(介護概論7-66-A)
例)老化プログラム説では,人の細胞分裂の回数があらかじめ決まっていることで老化が生じると考える。(発達と老化の理解30-69-5)
例)フリーラジカル説では,加齢による臓器や器官の萎縮や縮小に対して,それを補う再生機能が低下することで老化が生じると考える。(発達と老化の理解30-69-3)
5.生理的老化をめぐる問題の出題パターン
(1)生理的老化全般に関する問題:
例)老化に伴う身体の変化の特徴として、正しいものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解24-71)
1 皮膚表面が湿潤化する
2 味覚の感受性が高まる
3 血中ヘモグロビン量が増加する
4 疾病罹患時に定型的な症状が出現する
5 免疫機能が低下する
例)生理的老化は、遺伝的にプログラムされた現象である。(発達と老化の理解36-33-5)
(2)循環器機能の老化の内容を問う問題:
例)高齢者の最低血圧は、加齢とともに上昇する。(医学一般5-57-3)
例)老化に伴う循環器系の変化として、正しいものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解25-75)
1 脈拍数が増加する
2 動脈が軟化する
3 心臓が縮小する
4 不整脈が増加する
5 収縮期血圧が低下する
(3)呼吸機能の老化の内容を問う問題:
例)老化に伴い肺活量が増加する。(発達と老化の理解30-71-3)
(4)高齢者の脱水・口渇に関する問題:
例)高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、脱水を起こしやすい。(形態別介護技術19-101-B)
例)高齢者の脱水では体重が減ることがある。(発達と老化の理解35-38-5)
例)高齢者は若い人よりも体内の水分量が少なく、発熱や下痢などがきっかけで脱水になりやすい。(形態別介護技術15-101-1)
👉脱水に関する問題は頻出です。また、『こころとからだのしくみ』『生活支援技術』でも出題されることがあります。
(5)消化機能の老化の内容を問う問題:
例)老化に伴い唾液の分泌量が増加する。(発達と老化の理解30-71-2)
例)高齢者は消化管からの薬剤の吸収力が低下する。(発達と老化の理解29-71-1)
例)高齢者は薬物が排出される時間は短くなる。(発達と老化の理解35-36-5)
(6)代謝機能の老化の内容を問う問題:
例)高齢者は、肝臓での薬剤の代謝に要する時間が短縮する。(発達と老化の理解29-71-2)
例)高齢期はインスリンの分泌が少なくなる。(医学一般19-60-4)
(7)排泄機能の老化の内容を問う問題:
例)高齢者は尿の濃縮力が低下する。(発達と老化の理解35-36-3)
例)高齢期には夜間の排尿回数が増える。(医学一般19-60-5)
(8)運動機能の老化の内容を問う問題:
例)老化に伴い骨密度が上昇する。(発達と老化の理解30-71-1)
例)筋力や運動機能は20~30歳代をピークとして、後は衰えていく。(老人・障害者の心理11-44-C)
例)骨のカルシウムは老化に伴い増える。(こころとからだのしくみ34-101-2)
(9)感覚機能全般の老化に関する問題:
例)高齢期になると若いころに比べ、感覚の鋭さは低下する。(老人・障害者の心理10-37-4)
例)高齢期は聴覚や視覚は衰えるが、その他の感覚は衰えない。(老人・障害者の心理10-37-1)
(10)視覚機能の老化の内容を問う問題:
例)老化によって近方視力よりも遠方視力が低下する。(発達と老化の理解25-73-1)
例)老化によって視野が広くなる。(発達と老化の理解25-73-2)
例)老化によって明暗順応は変化しない。(発達と老化の理解25-73-4)
例)老化に伴い、白と黄色よりも、白と赤の区別がつきにくくなる。(発達と老化の理解34-74-3)
例)老化に伴い、水晶体が茶色になる。(こころとからだのしくみ34-99-1)
👉頻出です。基本的事項をよく調べておきましょう。
(11)聴覚機能の老化の内容を問う問題:
例)老化に伴い、「1時(いちじ)」と「7時(しちじ)」のような似た音を聞き取ることが難しくなる。(発達と老化の理解30-72-1)
例)老化に伴い、大きな声で話しかけられても、かえって聞こえにくいことがある。(発達と老化の理解34-74-1)
👉頻出です。基本的事項をよく調べておきましょう。
(12)味覚機能の老化の内容を問う問題:
例)加齢により、濃い味を好むようになる。(発達と老化の理解33-72-4)
例)加齢に伴い、味覚の感受性が低下する。(発達と老化の理解31-71-3)
例)味蕾の数に年齢による違いはない。(発達と老化の理解33-72-1)
例)高齢者は味覚障害により、苦味を強く感じる。(医学一般23-66-5)
👉頻出です。基本的事項をよく調べておきましょう。
(13)睡眠機能の老化の内容を問う問題:
例)高齢者は夜間の睡眠時間が長くなる。(こころとからだのしくみ26-106-1)
例)高齢者は早朝覚醒が少なくなる。(こころとからだのしくみ26-106-5)
例)高齢者は中途覚醒が多くなる。(こころとからだのしくみ26-106-3)
例)高齢者ではレム睡眠の時間が増加する。(こころとからだのしくみ33-107-5)
6.老年期の知的機能をめぐる問題の出題パターン
(1)老年期の知能に関する問題:
例)年を取るにつれ、高齢者の知的機能は低下していくのみである。(老人・障害者の心理11-44-B)
例)老年期は動作性知能よりも言語性知能の方が維持される。(老人・障害者の心理7-38-A)
例)老年期には、計算などの流動性知能は低下しにくい。(発達と老化の理解29-72-4)
例)老年期には、経験や学習で得られた結晶性知能は低下しやすい。(発達と老化の理解29-72-5)
👉流動性知能と結晶性知能は頻出です。必ず調べておきましょう。
7.老年期の人格をめぐる問題の出題パターン
(1)老年期の人格変化の内容を問う問題:
例)高齢者の性格や人格は、時代背景や環境の影響を受けることがある。(老人・障害者の心理15-46-A)
例)老年期のパーソナリティは、健康状態や生活環境によって影響を受けることがある。(老人・障害者の心理7再-38-5)
例)年を取ると、頑固とかケチとか涙もろいなど、いわゆる老化に伴う性格変化を示すようになる。(老人・障害者の心理10-39-1)
(2)ライチャードによる高齢者の人格特性の内容を問う問題:
例)装甲型(防衛型)は、受け身的に人生を受け入れて、仕事への興味はないのが特徴である。(老人・障害者の心理18-41-A)
例)円熟型は、現実に柔軟であり、自分の人生を受け入れて、様々なことに興味をもち、積極的に社会参加を行うのが特徴である。(老人・障害者の心理18-41-B)
例)再組織型(再統合型)は、一つか二つの活動領域にエネルギーを注ぎ、そこから主な満足を得ているのが特徴である。(老人・障害者の心理18-41-C)
👉これも基本的事項です。必ず調べておきましょう。
8.高齢者の記憶をめぐる問題の出題パターン
(1)高齢者の記憶全般に関する問題:
例)一般に記憶能力は、年齢とともに低下することはない。(老人・障害者の心理12-37-C)
(2)記憶のプロセスとその内容を問う問題:
例)記憶には、記銘と保持と想起の3つの過程がある。(こころとからだのしくみ27-97-2)
例)記銘とは,情報を覚えることである。(こころとからだのしくみ30-97-2)
例)体験したことを、覚えておくことを保持という。(老人・障害者の心理12-37-B)
例)かつて覚えたことを、今、見聞きしないで思い出すことを再生という。(老人・障害者の心理12-37-D)
(3)短期記憶の内容を問う問題:
例)高齢者には、感覚記憶や短期記憶が低下する人が多い。(老人・障害者の心理5-39-D)
例)短期記憶では、膨大な情報の貯蔵が可能である。(こころとからだのしくみ27-97-1)
例)短時間に記憶にとどめておくのと同時に、認知的作業を頭の中で行う記憶をワーキングメモリーという。(老人・障害者の心理20-44-1)
例)老化では、目から入る感覚記憶は低下しやすくなる。(発達と老化の理解29-72-1)
(4)長期記憶の内容を問う問題:
例)手続き記憶とは、自分に起こった出来事に関する記憶である。(こころとからだのしくみ27-97-3)
例)意味記憶は、言葉の意味などに関する記憶である。(発達と老化の理解34-73-2)
例)意味記憶は、老化に影響されやすい。(発達と老化の理解34-73-5)
例)老年期には、意味的記憶や手続き的記憶は比較的よく保たれる。(老人・障害者の心理8-43-A)
例)エピソード記憶は、自分に起こった出来事や体験に関する記憶である。(老人・障害者の心理23-41-1)
例)エピソード記憶は、加齢による影響を受けない。(発達と老化の理解32-72-5)
👉頻出です。おもな記憶の種類を必ず調べておきましょう。
9.高齢者の社会的機能をめぐる問題の出題パターン
(1)高齢者の喪失体験に関する問題:
例)高齢者は喪失体験を経験することが多いため、抑うつ傾向、心気的傾向が表れやすい。(老人・障害者の心理8-44-A)
例)喪失体験を引き起こす原因の一つに定年退職がある。(老人・障害者の心理22-42-2)
(2)エイジング理論の内容を問う問題:
例)サクセスフルエイジングとは、客観的な幸福感のことである。(発達と老化の理解24-70-5)
例)プロダクティブ・エイジングは、エイジズムによる高齢者のとらえ方を肯定した概念である。(発達と老化の理解27-70-3)
例)プロダクティブ・エイジングは、高齢者の経済的自立を目指した概念である。(発達と老化の理解27-70-2)
(3)エイジズムの意味を問う問題:
例)高齢者に対する次の見方のうち、エイジズムに該当するものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解31-70)
1 心身機能の個人差が大きくなる。
2 視覚機能が低下する。
3 流動性知能が低下する。
4 認知機能が低下する。
5 頑固な性格になる。
例)エイジズムとは、高齢を理由に偏見をもったり差別したりすることである。(発達と老化の理解36-34-1)
10.老年期の疾患をめぐる問題の出題パターン
(1)老年期の疾患の特徴を問う問題:
例)高齢者の疾患に関する特徴として、適切なものを1つ選びなさい。(介護概論23-74)
1 個人差は小さい
2 薬の副作用は出にくい
3 合併症は起こりにくい
4 老化と疾病の区別は難しい
5 症状は定型的である
例)高齢者の疾患の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。(発達と老化の理解26-72)
1 症状が定型的である
2 うつ症状は伴わない
3 複数疾患の合併は少ない
4 環境因子の影響を受けにくい
5 生活の質(QOL)への影響が大きい
👉このタイプの問題が頻出されています。
(2)高齢者の疾患の症状を問う問題:
例)急性心筋梗塞では、高齢になるほど痛みを訴えない人の割合が高くなる。(発達と老化の理解24-75-2)
例)高齢者は肺炎を起こしていても、発熱しないことがある。(形態別介護技術13-100-A)
例)高齢者の肺炎では、咳・痰などを伴うことはまれである。(発達と老化の理解34-76-5)
例)高齢者の転倒による骨折として、最も少ないものを1つ選びなさい。(こころとからだのしくみ25-101)
1 上腕骨近位端骨折
2 橈骨遠位端骨折
3 脊椎圧迫骨折
4 大腿骨頸部骨折
5 骨盤骨折
例)サルコペニアは骨量の低下が特徴である。(発達と老化の理解36-38-5)
例)高齢者の白内障では眼圧が上昇する。(医学一般23-66-1)
例)老年期に発症した統合失調症は、妄想型が少ない。(発達と老化の理解27-71-5)
例)初老期には、うつ病が好発する。(精神保健21-72-B)
例)老年期うつは、不安・焦燥傾向を示しやすい。(精神保健19-70-D)
例)老年期のうつ病では身体の不調を訴えることがある。(精神保健13-62-5)
例)うつ病等で自殺を試みた高齢者が死に至る率は、若年者の場合と比べて低い。(発達と老化の理解27-71-3)
▼これにて『発達と老化の理解』の問題分析は終了です。おつかれさまでした❗ ゆっくりお茶でも飲んでくださいませ🍵🍵🍵
⭐⭐⭐次回は『認知症の理解』です。よい週末を⭐⭐⭐