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【障害者に関わる支援者・親・当事者向け】最高の意思決定支援とは?
こんにちは!
教育・福祉・ビジネス業界に身をおいてきて、モヤモヤしていたことがあります。
それは”多くの人が今の現状に不平や不満をもっていること”です。
しかし、今の自分の位置を選択・決定してきたのは自分なのでは?
一方で、
自己選択・決定をしたくてもできなかった背景もあるのではないか?
とも感じ、何か心に霞がかかっていました。
そんななか辿り着いたのが「意思決定支援」の必要性でした。これは、障害の有無に関わらず誰にでもつながることでもあると思います。
今回は
・意思決定支援の概要
・自分で意思決定することの重要さ
・意思決定の課題
・意思決定支援の考え方
を私の体験を交えてお伝えしていこうと思います。
意思決定支援とは?
いろいろ情報がありますが、私自身がしっくりきているのは、
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 名川 勝
個人的な見解では、
本人の立場に立って本人の幸せな状態を引き出すことではないかなと思います。
なかなか、主観が入って難しいですが・・・
また、意思決定支援は、本人は意思決定できるという前提で関わっていきます。
重度の障害者であってもです。
私自身、重度の知的・身体障害を持った方を接したことがありますが、御本人達は意思決定できると確信してます。
イエス・ノーを筋肉のこわばりや息遣い、瞬き、音などなど個々に合った方法で意思を伝えられたことが何度もあります。
なので、意思決定支援のこの前提は必ず押さえておいてほしいです。
この前提がない場合、こんな考えに至るようです。
「自分が何者であるかもわからず、意思疎通がとれないような障害者は、生きていても社会に迷惑をかけるだけであるので、殺害してもよい」
善悪ではなく、この前提が無いとこのような考え方になる可能性があるということです。
みなさんは、どのように感じ・考えますか?
日本における「意思決定支援」の歴史
そもそも『意思決定支援』という概念が日本で、言われるようになったのはどんな背景があるのでしょうか?
簡単にまとめてみます。
平成25(2013) 年12月4日 国連にて障害者の権利条約(障害者の権利に関する条約)に批准。
平成18(2006)年12月13日 第61回国連総会において採択され、日本が署名。
この権利条約の12条に『支援される意思決定』という概念が生まれる。
日本においては、
2010年2月15日 第3回障がい者制度改革推進会議において、『自己決定支援』が議論される。
後見人制度とは違い、当事者の代わりに何かを決めるのではなく、あくまでも当事者の意思決定をするための環境や情報を整えていくという考え方になった。
そして、
2011年に障害者基本法改正。第23条に、「国及び 地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ」という文言が明記された。
2013年 障害者総合支援法が施行。
第42 条第1項で、「指定障害者福祉サービス事業者及び指定 障害者支援施設等の設置者(以下「指定事業者」という) は、障害者等が自立した日常生活を営むことができる よう、障害者等の意思決定の支援に配慮するとともに市町村、公共職業安定所その他のリハビ リテーションの措置を実施する機関、教育機関その他 の関係機関との緊密な連携を図りつつ、障害福祉サー ビスを当該障害者等の意向、適性、障害の特性その他 の事情に応じ、常に障害者の立場に立って効果的に行 うようにしなくてはならない」と定め、同法第51条の 22第1項では、指定相談事業者及び指定特定相談事業者 に対しても同様に、障害者等の意思決定の支援に配慮 することを責務として定めた。
ここから福祉の現場において、『意思決定支援』という言葉や考え方が広がっていったのです。
木口恵美子
背景を辿ると、日本においては10年程度しか議論されていない新しい概念のようです。
なぜ、自己決定することが重要なのか?
「今日何を食べようかな〜」
「お店をお探しですか!?うちのラーメン、絶対おいしいんで食べてください!」
「そうなんですね!わかりました〜」
ズズズ〜!美味しくない泣
あのキャッチめ!!!怒
こんな経験ありますか??
意思決定を他人に委ね、自分の理想と相手の提供価値にギャップがあると、その不満や不信感は意思決定を委ねた相手になります。
逆に、自分で選んで決めて、失敗したときには、反省して対策を考えます。これによって人間は成長していきます。不満を解消するために自分自身と向き合うことができるのです。
自己決定をすることで、人間は自分と向き合うことができ、引いては自己成長に繋がるのです。
一方で、自分で決めることはいくつかのハードルがあるのも事実です。
自己決定や自分で意思決定することに対する課題
意思決定支援の課題
①支援者
1.意思決定者(本人)の意思・希望がわからない
2.意思決定者の意思決定能力があるかどうかわからない
3.意思決定に対する葛藤
4.そんなん忙しくてやってられん!現場では難しい!
②本人の課題(一般的に)
1.先の見通しのもちにくさ
2.自己選択・決定の経験が少ない
3.自己肯定感の低さ
4.選択が必ずしも幸せにつながるわけではない
この課題を解決するためには、
教育、就労支援、就労、就労定着のそれぞれのフェーズでの環境整備や支援体制が必要になる。
一方で、個人的には教育段階は特に先の人生における自己選択・決定をする力を育むための基盤となる段階であると考えています。
なかでも、特別支援学校における「自立活動」や「生活単元学習」は、将来の自己選択・決定する力に大きく影響するでしょう。
詳しくは、こちらを!
『生活単元学習は最強の学習形態かもしれない』
意思決定支援の基本的な考え方
まだまだ新しいこの概念ですが、そもそもどのような姿勢で支援をしていったらいいのでしょうか?
先行研究では、以下のような考え方があります。
①意思決定支援をやると意思決定できるという誤認。
②意思決定支援をしたら意思決定してもらわないといけないという誤認。
③意思決定支援のゴールが意思決定にあるという誤認。
④「意思決定支援しなくて良いときは支援しない」があることの確認。
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 名川 勝
つまり、意思決定支援はあくまで、「本人が決めることが決めることができるところまで」を支援するということです。
姿勢として、当事者を「助ける」「手伝う」ではなく「あなたのことをもっと知りたい」ということです。
支援者として、この線引を意識するのは簡単なことではないかもしれませんが、前述したとおり、「相手は意思決定できる」という前提で関わっていくことが大切なのだと考えています。
意思決定支援がうまくいくと何が起こる?
いかがでしょうか。意思決定支援について少し理解が深まったら嬉しいです。
では、その意思決定支援がうまくいった場合、当事者の方はどのような心理になるのでしょうか?
①自己肯定感が高まる
②自分の生き方に責任感をもつ
③主体性が高まる
以前、失敗を過度に恐れてなかなか自分で選べない方がいました。選んだとしても、それは「◯◯さんが言ったとおりにしたのに!」という言葉で、うまくいかなかったことを他人の責任にしていまうのです。
一方で、失敗をしてもその原因と向き合い、次にどうするかを考え、実際に行動することを続けていくと自己肯定感が高まります。
さらに、自分で決めることで責任を自分で負わなければならなくなり、より自分から調べたり、聞いたりするように主体性も高めることができるのです。
私は当たり前の考え方である「意思決定」ですが、実は障害の有無に関わらず誰もができることではないと考えています。
そのためにも、日々、自分で自己選択・決定を意識していく。また、周りに自己選択・決定に悩んでいる人がいるとしたら、今回の意思決定支援の姿勢にたって、実践してみてください。
最期に日本の意思決定支援を広めている団体がいます。
SDM-Japan様です。この動画でぜひ、意思決定支援について、興味をもっていただければと思います!