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会社は生き物だということ

昔お世話になったメンターの人が病気を患い引退をしたあと、久々にお会いする機会をもらった。昔と変わらず人を圧倒するオーラは今も健在だった。限られた時間でいろいろなお話を聞けたことはすごく貴重で有意義な時間だった。

「人は覚悟ができると毎日が楽しくなる。あれもやりたい、これもやりたいとわがままになっていろいろなことを過去の成功体験に重ね合わせて考える時間を作るようにしたんだ。」と挨拶もしないうちに、いろいろと矢継ぎ早に話をしはじめた。昔からせっかちではあったけれど、更にせっかちになっているなぁという印象を受けた。

「会社というのは人間細胞と一緒で常に生まれ変わるもんじゃ。人の細胞は1年かけて全部入れ替わると言われているが、会社も同じなんじゃ。会社に入る人もいれば、会社を去るものもいる。それは会社が残るための自然の摂理である。なぜなら、外的要因で不況にならないとか、自社製品やサービスが売れないということで売上が落ち、会社をたたむ人もいるし、存続させるためにリストラをして整理する人もいる。それ以外については、急拡大はないだろうけど、年間数人ずつ増やしていきたいのが会社経営というものだ。」息継ぎを入れるように大きく深呼吸をしながら、お茶をするる。

次のことを言おうとしているのはわかるけど、一息入れないと興奮状態になってしまうと周りの人が心配をしていた。「君がいっているように会社が存続するためには、短期、中期、長期で物事を同時にいろいろな仮説を立てながら考えることが必要じゃ。最近では生産性や効率性ということばかりで短期的は経営状況が改善をするかもしれないが、中長期的には人材の能力開発ができずに、受け身になる人が多くなり、強力なリーダーシップを持った人を入れても業績が伸びない。」と眉間にシワを寄せて語尾を飲み込むように話をした。

「最近ではHR分野で言われているエンゲージメントやロイヤリティについても、大きく考え方が変わる過渡期へと移っているのかもしれませんね。」と合いの手を打つように話をすると、「そうじゃ。長期的に続く企業にとってはある程度の新陳代謝ができるようなHRの仕組みをつくっている。」と間髪を入れずにツッコミのように切り替えされてしまった。

とある男性が「リクルートのように成長している企業については、細胞の新陳代謝のようなシステムができているから、若手のうちに数十億という予算をつけて、大きな仕事を経験することで独立してもやっていけるだけの経験とスキルを身につけることができる。しかし、ごく一部の人間に限られるもの。リクルート出身というと優秀な人材、イノベーションを起こせる人というイメージが先行をするけれど、上位5%。上位20%、その他80%では成功をしているイメージが全く違いますね。」と語りかけるように話を続ける。

「ヘッドハンティングをされるのは上位5%、上位20%は独立してもそこそこ成功をして社会的ステータスを上げることができる。残りの80%については、他の組織でマネージメントなどをしている。」メンターは続けるように。「IT業界でもプロ精神を入れるために、人事評価で最低評価を2回連続して獲得してしまうと、代謝制度もある会社ができたらしい。実際に代謝になっているかどうかはわからないけれど、プロ意識を植え付けることには成功をしたのではないだろうか?公営ギャンブルを例えに出すのは良くないかもしれないけど、年間で下位50名前後は人知れず引退をしていることもある。プロスポーツ選手についても引退試合をしていないけど、あの選手が引退しているということもよくあるだろう。そういう時代になってくるのは時間の問題だろうなぁ。」と遠くを見ながら話をしている。

「これからの時代、これをやっていれば正解!ということはなくなっていくだろう。自分たちの会社が持っている教科書をどうやってアップデートをしていくのかが問題だ。成功体験に頼りすぎてしまうと一発屋として終わってしまうこともあるし、環境適応能力がなければ短期的な戦略の1つとして終わってしまうだろう。」と先ほどの紳士がしみじみと語った。

「リファラル採用がうまくいった、社員のエンゲージメントが上がったと言っても、他社で通用するかどうかはわからない。長期的な視点で考えていくと、現在の安倍首相のように論点をずらすことで、本質に切り込んでいないことについて気づいてしまう。」とぼやくように私がいってしまった。

「求人広告会社から離職率◯%の職場ですというキャッチコピーに違和感を感じている。離職率が低い=ホワイト企業、離職率が高い=ブラック企業という先入観を持っている人が増えているのは事実でしょう。離職率が低い=いい会社というのもおかしい話。離職率が低いということは人材が定着していて安定をしているイメージがあるけれど、会社に貢献しない人に対して代謝ができておらず、井の中の蛙大海を知らずという状況のようなイメージがある。言わいる政治家、働かないおっさんが若手の成長を阻害している可能性も感じる。」と私が話し終わると同時に、メンターがいった。

「ただ、長期的に見て生態系を持続的に強くしていくための仕組みだとしても、目の前の社員からするとメリットない施策になることもあるだろうからそれが難しいところじゃあ。
目の前の社員にも全力で応えつつ、胆力を発揮しないといけない場面も多いんじゃないか。」

会社とは生き物であり、細胞が入れ替わるように中の人達もある程度の入れ替わりをしていかないと、長続きするものではありません。細胞が入れ替わるように人も入れ替わることは仕方がないこと。それが本質であるのにもかかわらず、離職率が低い会社、リファラル採用で成功している会社がいいということはない。一つの判断基準であり、情報が多くなればなるほど選択をすることが難しくなってきている。

あたなが成長するためにはどういう企業がいいのか、どういう仕事がいいのかきちんと見極める必要があります。判断基準については過去の成功体験に基づいて判断されるケースが多くあります。よく考える時間を持つことも転職を考える前には重要な時間です。

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