新しいことに目がいき本質を見失う!?会社の特徴
即戦力という人材争奪狂想曲
2010年代にはいってから、企業人事が同じことをいっています。
「即戦力になる人材を求めているんです」というキーワード。
即戦力とはすぐに結果を出して、会社へ貢献をしてくれる人というイメージが強くありますが、中途採用でこの定義で採用をするのであれば、同業界からヘッドハンティングするしか方法はありません。
即戦力という言葉を少し拡大して解釈をしてみると、会社風土に馴染み、素直さと謙虚さを持っており、比較的短期間で会社に貢献をしてくれる人という定義ができるでしょう。
この定義になると、30歳以下の若手社員を中心に採用をすることを考える人事がほとんど。
ミドル世代になると採用が活性化しているとはいえ、見抜く目がないとしっかりとした人材を見抜くことができない。
下手をすると高い買い物をする可能性が高くなり、採用する側には大きなリスクになっているのが現状。
そのため求人票は至るところで、3ヶ月、6ヶ月決まらないこともよくあるケースです。
最近は戦略人事とかCHROとかHRBPとかいろいろな言葉が出てきていますが、なぜ最近2〜3年でトレンドが変わってきてるのかというと、今までは製造業などが中心で、設備だったり資金だったり、こういったものが非常に競争優位としては重要でした。
ところが、今はサービス業が中心になってきていて、どちらかというとソフトの部分がポイントになってきているという部分で、人材の競争優位性、1人の人材が大きなサービスを、プロダクトを作るのもそうですし、戦局を変えるような打ち手を考えるのもそうですが、組織・人材が非常に優位性になってきている時代に変わってきているんじゃないかなと思います。
いい人材さえ確保していけば、会社が大きく変わっていくという流れになってきているので、この人材こそが優位性の担保を持つ部分に変わってきているのが、この数年のトレンドではないかと思います。
それに合わせて、市場環境もこれまでとこれからで変わってきています。
今までの人事制度は、新卒一括採用して、年功序列があって、ちゃんと定年がある。
右肩上がりで経済が伸びていたので、ちゃんとまとめて採用して、少しずつ給与を上げるといったような、比較的オペレーションをちゃんと回していくみたいなものが人事の役割として求められたところから、劇的に変わってきていると思います。
やはりこの5〜6年で非常に経済が成熟してきていて、環境変化に対応するための戦略立案・実行みたいなものが非常に重要になってきている。
加えて、昨今のテクノロジーの進化ですよね。
戦略人事とは…
第4次産業革命と言われていますが、ここが加わっていくことによって、また人事も非常に難易度が上がっています。
今まではオペレーションを回せばよかったところから、戦略を立てるという部分が非常に重要になってきているのが人事の仕事じゃないかなと思っています。
私もいろいろな企業でお話をさせていただいており、そのあたりの変化を最近すごく感じています。
戦略人事として、これからの人事に求められること、主にこの4つと言われています。
1:事業戦略の理解
2:人事データに基づく経営者への提言、現場への介入
3:人事を取り巻く環境の変化
4:人事オペレーションの軽減
事業戦略の理解については、これは人事としてしっかりと理解しておくことが必要になります。
会社説明会や面接のクロージング時にこれがブレてしまうと何もできなくなってしまうからです。
意外にも理解をしているようで理解をしていない人事が多いのが特徴であり、わかったふりをしているから厄介になることもあります。
人事の方々と話をしていて一番気になるのが、言い訳をすぐにする人が9割いるということ。
「業務が多忙すぎて何もできない」「おっしゃっていることはわかりますが、時間がない」「手間と工数が増えてしまって、通常業務に支障が出てしまう」などということを平気で開口一番におっしゃります。
だから、人材の墓場と言われてしまうということに気づいていないんでしょうね。
こういう人事に限って攻める人事、イノベーション人事とか流行りのキーワードを追って、本質を見失う傾向が高いのです。
新しい制度をつくり、施行してみるとわかりますが、数値が劇的に変化をすることになります。
離職率が下がった、売上が伸びた、個人の生産性が上がった、残業時間が少なくなったなどちょっとしたことでも実績になるのに、人事経験者はそのことに対して自信を持って話そうとはしません。
業績を上げるために何をどうしているのかということを自分の言葉では述べられないから不思議である。
人事は経営陣との両輪で会社の屋台骨にならなければならないが、なぜか主語は他人事のように聞こえてしまうから不思議である。
人事は経営陣とコミットメントをして仕事をしているという自覚がないから、人材の墓場といわれてしまってもしょうがない。
人事データにもとづく経営への提言・現場への介入ということで、しっかりデータを抽出して、経営を変えていく。
1年間の離職率じゃなくて1ヶ月にフォーカスをすると課題が見えてくるということもありましたが、ちゃんと分解をしていくと課題が見えてくることが多いので、ここをしっかりと行っていく。
あとは環境変化への対応、オペレーション業務をどう軽減するかみたいな部分が非常に大事なんじゃないかと思います。