これからの採用ブランディング
応募者が集まらないには理由があるんです
最近増えている相談が、「人手不足なのかな?求人広告を出したけど集まらないんだよね」という採用難に嘆いている経営者や人事担当者からの悲鳴にも近い相談が増えています。
人が集まらないには理由があり、その理由を分析していかない限り解決はしない。
人が集まらない理由を分析できないと、「人が集まらない」と嘆くことになります。
採用ブランディングができていない企業が多くあることに気づきました。
現在では1人を4社〜10社で争奪戦をしていることが常識であり、職種によっては20社以上と争奪戦をしている事になります。
これがリーマンショック前後であれば、数社だったことを考えると、人材の争奪戦が激化していることは想像がつきます。
そこでスピード感重視になると、面接手法も、出稿の内容も、クロージングも間違った方向に行ってしまうことになります。
数学が苦手な人はこの比喩表現がわかりづらいかもしれませんが、図解してみてください。
時代の流れをXとした時、自分たちの採用活動がYとする。
XYが0、0を通る直線がトレンドだとした時に、自社がどの位置であるか認識ができているかと言うのがポイント。
いきなり、ドッカーンとぶつかる位置にいるのであれば、ラッキーな部分もありますが、継続的に長続きはしないでしょう。
トレンドにコツコツとぶつかるようにしていくことで、採用ブランディングができていくことになります。
転職者数は変化しませんので、採用ブランディングをきちんと行うことにより、接触数を増やすことができるように知恵を絞っていかなくてはなりません。
採用ブランディングで抑えておきたい!5つのポイント
私が相談を受けて採用ブランディングをしていく上で、どうしても外せない5つのポイントがあります。
「人」「事業」「ビジネスモデル」「福利厚生・社風」「ストーリーを作成」となります。
この5つのうち1つでも差別化をすることができれば、採用活動を有利にすすめることができるでしょう。
「人」が特徴にある場合
「人」が特徴にある場合については、設立の背景、社長の想い、社長の経歴、社名の由来、社員や役員の特徴などが背景にはあります。
新しいサービスを展開する会社さんからの相談の時にオープンにソーシャルネット上でいろいろな相談ができたり、イベントを開催したり、本音で話せる環境を作りたいと考えていました。
ホームページやソーシャルネットを見てみると、そういう思いが全く書かれていませんでした。
そのサービスを展開する思いやそこに至った経緯をしっかりと書くことで1つの差別化につながっていきます。
「福利厚生」が特徴にある場合
最近、転職サイトの広告やスカウトメールを見ているとこういう文言が入っているケースが多くあります。
「残業代全額支給します」
「住宅手当支給します」
「離職率低いのです」
「残業なし!ほぼ定時で帰れます」
という打ち出しをしている企業は非常に多くあります。
ただ、ここもテクニックなのですが、「なぜその福利厚生をつくったのか」という「背景」を赤裸々に話すと良いかと思います。
IT企業で残業時間も多めでブラック企業というレッテルを貼られてもおかしくない会社の経営者さんから相談を受けたことがありました。
その時に普段がハードに仕事をしてもらっているから、家族との時間を持ってもらうために、自分の誕生日はもちろん、パートナーの誕生日、お子様の誕生日については、アニバーサリー休暇を取り入れたいと考えていました。
プライベートが充実していると仕事もうまくいくことを経営者自身の経験から設けた背景がありました。
福利構成の事実ベースをお話するよりは、「背景」を伝えたほうが求職者様には魅力的に映るケースは非常に多いのです。むしろ、「アニバーサリーがある会社」というブランディングよりも、「社員の家族、子供にも気遣いができている企業で嫌な会社なんてありませんよね」というブランディングのほうが良いと思うのです。
しかも、この話を人事がサクサク話しをすることができる企業は僕はステキだと思います。もちろん社長様は話をすることができるのですが、共通言語として求職者と相対する人事の方がお話できるかどうかがポイントです。
「ストーリーの作成」に特徴がある場合
例えばリストラ、社長の交代、業務改善などネガティブなキーワードもストーリー性をもたせることで印象が全く変わってしまいます。
最初は順調に成長をしていた(話の導入)
ただ、業績が傾いてリストラを敢行(問題が発生)
一人の青年が手を挙げ社長になる(問題点に対してのアクション)
社員に対しての約束を結ぶ(アクションに対しての具体的なエピソード)
新しい社長になってから離職率が下がっていく(その効能)
という形で「現状⇒問題⇒解決⇒そして今」という「ストーリー」をつくっていくのです。テレビドラマもスポーツ漫画もそうですよね。全てが順風満帆な流れがだと視聴者にとっては魅力的ではないです。あえて「問題」「事件」などをお話することによって相手を引き込ませることができます。
自社の何がささるのかということをどんどん深掘りする
最近マーケティングでいわれていることが、共感と等身大が求められています。
まず自社が「これは特徴だろう」と思っていることが、実は特徴ではなく他社も同じような打ち出し方をしてしまっている事例は多々あります。
特に社風。「うちは風通しが良い社風で何でもチャレンジできるのです」。
これは特徴ではないです。
抽象度が非常に高いですし、どの企業も同じようなことを言っているように感じています。
つまり、競合他社がどのような打ち出し方をしているかを確認しないまま、自社の特徴を決定してもあまり効果的ではないのです。
なので、他社を知ること。
つまり競合他社のホームページ、Wantedlyなどの求人サイトをとにかく見るだけでもすごく勉強になりますね。
自社が普通だと思っていたことが実はものすごく価値がある特徴になり得ることも沢山ありますしね。
それでも他社の特徴を把握しきれないかと思います。それだけブランディングは難しいことだと思います。
ナレッジの共有が変化をもたらす
人事をやってみてわかったことですが、ノウハウやナレッジの共有がなされていないというのが実態です。
そして全てが経験と直感で行われていることが多く、検証しようにも検証ができない。
クロージングの際、面接の際などシーン別のトークスクリプトを作ることは大事ですね。
自分のためにも組織のためにも。
スクリプトと言うと少し大変なイメージがあるかもしれませんが、何か「型」が無いと検証ができない。
こういった話をこういった種類の求職者に話をしたけど刺さらなかった、という「振り返り」ができる環境にしたほうが良いです。
できれば必殺トークを動画に撮って共有したほうが良いかと思います。
かつ面接同席をしてもらっても工数がかかってしまうのでもったいない。であれば動画を撮影してそれを共有してもらえると良いかと思います。
新人の人事や面接官の方であれば、その動画を最初はずっと見てもらう。そうすれば自社の魅力に気づくこともできますし、自社の魅力も語ることができると思います。