採用手法の流れとブームについてまとめてみた
1:2000年代〜リーマンショックまで→エージェントに相談だ!
2:リーマンショック〜2010年まで→採用凍結時代
3:2010年〜2014年まで→Agentfeeのお祭り時代
4:2015年〜2016年まで→共感と等身大の採用時代
5:2016年〜2018年まで→採用広報が必要な時代
6:2018〜2020年まで→社員全員が人事としてスカウトする時代
7:いろいろなブームはあるけれど、採用の本質は変わらない
私が日本のAgent業界に入ったのは2004年でした。
ちょうど医療系の紹介予定派遣が解禁された時代であり、医療系の人材紹介会社が雨後の竹の子のようにできた時代です,
2000年代から人材紹介、人材派遣会社が増えていき、一時期は1万6千社まで膨れ上がりましたが、現在では吸収合併や買収がすすみ、1万社ちょっとまで淘汰される時代になっています。
大手企業の傘下にいろいろな会社が入って競合するより、協業することによって生き残りを図っている会社も増えているのは事実です。
昔独立系としてやっていた会社が大手企業の傘下になっていることも珍しくなくなってしまいました。
採用に困ったらAgentに相談だ!
1980年代に産声を上げた人材ビジネスが、認知をされるようになったのは2000年代に入った頃からです。
転職が当たり前になり始めて、終身雇用、年功序列制度が崩壊し始めた時に、Agentも注目を集めるようになりました。
また、インターネットの普及に伴い、いろいろな情報検索が昔より簡単にできる時代へスイッチしていく時代でした。
この頃からAgentは売上至上主義となり、利益を追求するあまりに登録者の対応が雑になることもしばしばありました。
日本の採用の9割が欠員補充ということで採用活動をしています。新卒意外については戦略的に採用をするというよりも、足りなくなったから補充するというイメージが強くなっています。
広告媒体を出稿すると費用がかかり、管理も含めると煩雑になるので、Agentへアウトソースしているというのが現状です。
管理部門については費用削減の一環で最小限に絞られてしまった関係で仕事量が増大している背景がそこにはあります。
Agentがスクリーニングしているわけだから、うちに獲っていい人材を提案をしているというのが暗黙知だった時代でもあります。
そのため、紹介手数料についてはリクルートが決めたルールに従いながら右へならえで30%としていましたが、企業側が20〜30%の間で落とし込むことに必死になっていた時代です。
1万6千社もあったわけですから、おたくがだめなら、他でいいよっていう人事の殿様商売的な考え方がはびこっていた時代でもありました。
リーマンショックが大きな潮目になった時代
2008年にリーマンショックが起きると、好調だった業界に対して逆風が吹きすさむことになります。
求人案件の取り下げがおおくなり、よほどズブズブな関係になっていないAgentにとっては勝負がしにくくなり、営業数字が上がらず、スクラップビルドをしたり、人員配置をする時代へと変化していった時代です。
人材ビジネス業界にとってはまさに暗黒の時代へと突き落とされる事になりました。
この後の大きな危機は東日本大震災の影響で各社が人員配置の転換でオーダーがストップすることもありました。
ここで大きく変わったのが、Agentの質が落ちたことです。
リストラが進み、Agent業界に未経験者が流入してきたことによって大きく流れがかわりました。
コミュニケーションが密にならず、クライアントからも逃げられて、登録者からも逃げられるようになりました。
携帯電話の普及にともない、知らない番号についてはでない、コールバックをしないという時代になってしまったからです。
Agentfeeのお祭りの時代へ
東日本大震災後、1〜2年後になると落ち着き始めたところで、エンジニアの争奪戦が勃発することになり、Agentfeeのお祭りの時代へと突入していくことになります。
IT企業が潤沢な資金源を元手にして、Agentfee100%、Agentfee50%という常識はずれのお祭りを始めたことによって、Agentがfeeの高いクライアントへ集中する時代に入っていきます。
Agentは集中するために企業の空き席を利用して、常駐する形で最新情報を取得するのと同時に、推薦が上がるとすぐに人事や決裁権者と掛け合いながら、Agentfeeの争奪戦が行われていました。
ちょっと前に話題になったペイペイの山分けチャンス見ないなことがAgent業界で行われていました。
そのため、エンジニアを採用するのが困難な時代でもあり、Agentもお金に目がくらんでいた時代でもあります。
それによってAgentfeeをリクルートが30%→35%へアップしていった時代でもあり、いろいろなAgentが紹介手数料のアップをしないと契約更新をしないという時代でもありました。
共感と等身大の時代へ
FacebookやTwitterなどのSNSが浸透し始めたのは2010年代に入ってからです。
SNSを見るといろいろな社員の素顔がみえたり、業界の裏側が見えたりすることがあり、共感を呼ぶとバズることが多くなり、インフルエンサーと言われる人たちが誕生する時代になりました。
そこで出てきたのが、ビジネス系SNSの代表格とも言える、Wantedlyです。
社員の素顔がみえたり、理念について熱く語ったり、こんな人達と一緒に働きたいと思わせるような仕掛けが多くなり、気軽にランチをしながら話を聞けたり、面接ではなく面談という形式で同じ立ち位置で判断をすることが前提となりました。
求人広告を脅かす存在となり、面談というフランクにいろいろ話をする場を設けることが好評を博したため、いろいろな媒体で面談を実施するパターンも多くなりました。
気になるボタンができたのもこの頃からです。
気になるボタンを押した人に対して、応募を進めたり、スカウトメールに近い形で何らかのメリットを与えたり、企業人事が知恵を絞り始めた時代でもあります。
採用広報というインフルエンサー
ここ数年ですが、実名、顔出しの人事が増えてSNS上ではフォロワーが1000人以下だと意味がないということで、インフルエンサーとして、人事がグイグイ前に出てくる時代に変わりました。
経営者も採用責任者として、企業名、実名、顔出しでSNS上はいろいろな発言をするようになった時代です。
そうすることによって身近に感じてもらいたいというのと同時に、広告塔として採用活動を好転させるためにやられている方が多くいらっしゃいます。
発信をし続ける事によって、その人の思考性が見えてきます。
昔から言われているのは、LinkedInで経歴チェック、Facebookで趣味、思考性をチェック、Twitterで日常生活や思考性をチェックすると言われています。
SNSがいい事だらけのハイライトという理由にもつながっていくのが、いいことだけを書き続けるとファンができるという親和性です。
しかし、実際は試行錯誤しながら、ファンを作っているのが現状であり、何が正解なのかは不明です。
意外にも素の部分が見えるとバズるというのは間違っていないでしょう。
素の部分が見えるとギャップがあり、人間性が見えてくるので、ファンを獲得しやすい。
ファンベースという考え方があり、20%のファンが口コミ伝染病によって拡散をしてくれたり、共感をしてくれたポイントのコメントをつけて拡散してくれます。
社員全員で人事の役割をしてスカウトする時代へ
インフルエンサーとして有名になったところで、他社へヘッドハンティングされる時代です。実績と信頼をあげたところでヘッドハンティングされるとなると一人に依存することは非常に危険であるということ。
その人が抜けたところで、採用イメージがかわり、力が衰退することになるので、次の採用広報を育成していないと2〜3年は結果として芳しくないというのが目に見えています。
そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか?
大手企業やネームバリューがある企業以外については、社員全員で採用活動をすることが求められる時代になっています。
リファラル採用と言われていますが、ファンベースの考え方でやっているので、会社のことに熱心な人達から始める方法がベターです。
リファラル採用がうまく回り始めたところで社員全員で採用活動をするほうがうまく歯車が回り、いい流れを止めることなく、採用活動が進んでいくことは間違いありません。
失敗する事例はトップダウン型で転職を考えている人を紹介してくださいというパターンです。
インセンティブで釣る方法もありますが、社員から紹介をしてもらいたいのであれば、中途入社をした人たちから口コミ伝染病を発生させることで、採用活動が好転をしていきます。
手段は変わるけど、本質は変わらないのが採用活動
これだけ採用手法が変わっているにもかかわらず、採用がうまくいっている会社とうまくいっていない会社の差ってなんでしょう。
1:人に対して真剣に向き合い、真剣に寄り添ったり、真剣に叱ったりする関係性が築けているかどうか。
2:人対人ですから、腹を割って話せる関係性を築けているかどうか。
この2点をシンプルに焦点を合わせて、解決していくだけ。
わかり易い言葉で端的に話をしているでしょうか。
いろいろな説明をして、結論を言ったとしても響きません。
自分たちのことばかり話をしてしまって、余裕がなくなってしまって、クロージングをしていないでしょうか。
コミュニケーションということで電話、メール、SNSをどんどん活用しているでしょうか。
相手がどこで悩んでいるのか、なぜ意思決定をできないのかを推測しているでしょうか。
簡単なことなのですが、これができていない人事が9割いるのが現状です。
採用に求められるスキルは、商品開発能力、マーケティング能力、広報宣伝活動力、営業力の総合スキル。
どれがかけてもこれからの採用はうまくいかない。
採用担当者と経営者の覚悟が決まった時、新しい手法で採用活動が好転していくことは間違いありません。
否定をすることは簡単だけど、同じ方法でやっていてはどんどん尻すぼみになり、採用困難になってしまいます。
そうならないためには常にいろいろなことに興味を持って、挑戦していくことは必要な時代です。