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だからパパには敵わない:やさしい気持ちを思い出したい時はコレ
【だからパパには敵わない:遠藤俶子】
高校3年生の最後の普通登校の時(受験生は受験行脚が始まるので、どこかから自由登校になる)、重要なイベントをやりそびれた!と思い出し、朝早くに登校するのをやめた。
学生の重要なイベントと言えば2つ。
1.食パンを食べながら角を曲がり推し萌えと運命的出会いを果たす ※たぶん世の人はこの部分に「イケメン」とか「美女」とかを入れる
2.ホームルームぎりぎりに学校につき、教室に向かう教師を追い越して教室にすべり込む
しまった・・・どちらもやりそびれたまま、モラトリアムが終わってしまう・・・マズイ!
1は物理的に無理。なぜなら自転車通学だったから。歩いたら1時間以上余裕でかかる。電車とかバスとかそんな便利な公共交通機関があるのは都会の特権。田舎の子供の移動手段は基本徒歩か自転車の2択。
2のイベントだけでもクリアせねば!突然使命感にかられ、登校時間を遅くした。毎日早くに出ていく娘が途端に朝、家でテレビの時計をガン見し出したのを見たオカンは当然「あんた、何やってんの?」と聞いてきた。どれほど熱量をこめて重要イベントクリアについて説明しても、残念ながらオカンには響かず、ナメクジを見るような目で見られた。数回にわたりチャレンジし(つまりギリギリにうちを出ようと努力し)、自分には忍耐という才能が欠如していると悟った。
小心者なので何度やっても「ちょっと早め」についてしまうのだ。18歳にして、重要イベントクリアの難しさをようやく悟った。そして仕方がないので、手法を変えることにした。学校の自転車置き場で時間をつぶす、という手法に。当たり前だが今度は教師に不思議な顔をされた。「何やってんの?」
まあ、そりゃそうだよね。自転車置き場でウロウロとしてりゃ。心を込めて重要イベントについて説明してみたが、同様にナメクジを見るような顔をされた。
こうして人は、誰かに理解してもらおうなどという傲慢な心を手離していくのだと思う。
結果的にいうと、どうにか重要イベント「教室に向かう教師を追い越す」をクリアした。ただし。毎日早く来ていたのが仇になり教師から「早く来ていたが用があって廊下に出ていた生徒」と思われ、何のイベント感もなかった。この重要イベントをドラマチックにクリアしたいなら、教師に事前に台本を渡しておくことを強くおススメする。
さて。
だからパパには敵わない
女子高生のお話。パパはアメリカ人。なさぬ仲。子連れ再婚したママはあっけなく事故で死んでしまい、義理のパパと祖母の3人暮らし。ちょっと武闘派の娘。娘も祖母も口は悪く、娘に至っては手も出る。なんだけど、全編通して、やさしい。
パパもとてもやさしい。ああ、「やさしい」って、こういうことだよね。そんな気持ちを思い出したいなら、コレ。
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