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【休職体験談 No.4】27歳メガバンク勤務の私が「顧客本位」を貫けず休職した話

こんにちは。休職タイムズです。今回はメガバンクに新卒入社し休職した佐々木さん(仮名)の休職体験談をお届けします。


仮名:佐々木 智也(仮名)
年齢:27歳
性別:男性
勤務先・職種:メガバンク/リテール営業担当
休職した経緯:
借入ニーズのない顧客へのローン提案や、ノルマありきの金融商品販売に疑問。胃痛や不眠が続き、心療内科を受診して適応障害の可能性を指摘され休職へ。

1. 新卒時代の就職活動と「メガバンク」への憧れ

私は大学3年生の就職活動時、大手金融機関の存在感に圧倒され、いわゆる「メガバンク」への就職を第一志望としていました。大学では経済学を専攻し、銀行という組織の仕組みや経済への大きなインパクトに強い興味がありました。まわりの友人たちも同じく金融業界を志望していたこともあり、「大きな銀行で働く自分の姿」を想像すると、漠然とした興奮と誇りを感じたものです。

ありがたいことに、面接や筆記試験の結果は順調で、学生時代に取得した資格(簿記など)を生かせるだろうという思いもあり、希望していたメガバンクの内定を獲得できました。学歴的にはお世辞にも良いと言えるものではないなかでの内定で、周囲からは「勝ち組」に言われて、家族や友人からの期待も大きかったのを覚えています。

2. 入行後に感じた現実と違和感

入行直後の研修期間はとても刺激的でした。同期たちも優秀で、上司や先輩方も親身になって指導してくださり、自分の成長を実感できる機会が多かったと思います。

しかし、配属されて半年ほど経過した頃から、ある種の「違和感」を拭えなくなりました。私が配属されたのはリテール部門で、個人のお客様へ金融商品を提案したり、ローンの契約などを担当する部署です。銀行というのは、預金を守るために様々な規制や内部監査が必要だと分かっています。しかし、日々お客様のご意向を優先するよりも、ノルマや組織の論理に沿って動くことを強く求められるケースも多く、

「どうしても借入ニーズがないと分かっているお客様に、無理にローンを勧める」
「相場変動リスクが高い商品でも、上からの販売目標があるから売らなきゃいけない」

といった状況が続きました。
もちろん責任ある金融機関としての立場や、コンプライアンスの重要性は理解していますし、「全てが顧客本位ではない」と決めつけるつもりもありません。ただ、一社員として業務を進める中で、どうしても自分のなかの理想と現実のギャップが大きくなり、モチベーションが落ちていきました。

3.休職を決意するまでの経緯

ノルマを追う日々や、書類作成の煩雑さ、さらには上司からのトップダウンの指示が重なり、私の心身は少しずつ疲弊していきました。最初は「仕事だから仕方ない」と言い聞かせていましたが、

休日出勤や残業が慢性化し、体力的な限界を感じるようになった

「自分が本当に役に立っているのか?」と疑問を抱き、やりがいを失いかけた

お客様へ本当に必要な商品を提案できているとは言えない現実に、自責の念が募る

こうした状況が続いた結果、ついに上司に「少し休ませていただきたい」と相談しました。実はその相談の直前、私自身で心療内科を受診し、適応障害の可能性があると言われていたのです。そこまで大事だとは思っていませんでしたが、眠れない夜や胃痛に苦しむ日々が続き、「もう限界」だと感じていました。

銀行としても、私が診断書を提示したことで「労務管理上、休職を認めざるを得ない」という対応になり、あっという間に休職が決まりました。

4. 復職・転職の可能性と、“不都合な真実”を突きつけられたキャリア相談

休職して数週間、私は「やっぱり銀行を辞めたほうがいいのか? いや、復職すれば上手くいくかも……」と堂々巡りのまま時間だけが過ぎていました。そんな折、あるキャリア相談サービスの噂を聞きつけたのです。「簡単に甘い言葉をかけず、むしろ容赦なく“本音”を突いてくる」と。

オンライン面談を受けてみると、そのカウンセラーは私の経歴や銀行内部の環境に詳しい様子でした。そこで切り出されたのは、痛烈な一言。

「銀行のノルマや組織体質を責めても仕方ないですよ。問題は“あなたがどうしたいのか”を明確にしていないことじゃないですか?」

最初は否定したくなりましたが、休職に至るまで私はずっと“環境”のせいにしてきたと気づかされ、言葉を失いました。結局、面談の最後にカウンセラーはこう言い放ちました。

「転職か復職かなんて、まだ焦って決める段階じゃないですね。自分自身と向き合わなければ、どこへ行っても同じ苦しみを味わいますよ」

その瞬間、自分は“銀行”を嫌っているだけでなく、「本音を避け続けていた」ことも見抜かれてしまったと悟りました。ショックでしたが、同時に霧が晴れるような感覚もあったのは事実。もしあのまま当たり障りのない優しいアドバイスだけを受けていたら、私は“根本的な問題”を見落としていたでしょう。今は迷いながらも、自分の軸を見つける作業から逃げてはいけないと思えるようになりました。


5. 最後に

今回、私はメガバンクという恵まれた環境に身を置きながらも、休職せざるを得なくなるほど自分を追い詰めてしまいました。もしあのまま走り続けていたら、もっと深刻な状態になっていたかもしれません。今では、思い切って休んだこと自体が、逆に「これからの人生を考える大切な転機になった」と感じています。

復職か、転職か――最終的にどう判断するにせよ、やはり大事なのは「自分の価値観をどこまで大切にできるか」だと思います。どんなに待遇が良くても、どんなに周りに羨ましがられても、自分自身が納得いかない働き方を続けるのは辛いものです。

これから休職を検討している方、あるいはすでに休職中の方がいれば、「一度立ち止まって自分を労わることは、決して悪いことじゃない」と伝えたいです。そしてもし将来のキャリアに迷いがあるなら、信頼できるカウンセラー・エージェントや周囲の人に相談してみることで、意外なヒントが見つかるかもしれません。

今はまだ休職期間の真っ只中ですが、どの道を選んでも、この経験は無駄にならないと信じています。もしメガバンクを離れる決断をしたとしても、それは「自分が後悔しないキャリアを築くための一歩」だと言えるよう、しっかり考え抜きたいと思います。


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