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【休職体験談No.18】「ゆるふわホワイトって信じてたのに…」大手SIerでクライアントに追い詰められた私の末路
こんにちは。休職タイムズです。今回はゆるふわホワイトと信じてSIerに新卒入社した高橋さ(仮名)のエピソードをお届けします。
プロフィール
名前:髙橋 未来(たかはし みらい)
年齢:27歳
性別:女性
前職:大手SIer(新卒入社5年目)
休職理由:
入社前の評判では“ゆるふわホワイト企業”と聞いていたが、実際は苛烈なクライアント案件に振り回され激務化。
不条理な要求や納期詰め、深夜まで続く仕様変更対応でメンタルを崩し、医師から休職を勧められた。
1. 「安心安全の大手SIerだよね?」——就活で抱いていた幻想
大学時代、私はIT業界に興味があったものの、ガチガチのプログラミングやベンチャーの激務には抵抗がありました。そんな私が選んだのは「大手SIer」。周囲の評判でも「大企業だから働きやすい」「福利厚生しっかりしててホワイト」と聞こえてきたし、部活先輩も「ここ、めっちゃゆるいよ」と太鼓判。
面接でもチームワーク重視の雰囲気が強調され、「ゆるふわホワイト」感しか感じず。私はすっかり安心して入社を決めたんです。
2. 実際は「ゆるふわ」は事実…しかし、担当クライアントが地獄だった
入社後は研修期間もあって、確かに社内は大きくて制度も充実、先輩も朗らかでした。最初の1年は無理な残業もほぼなく、このまま“ラクなITライフ”が続くのか…と思っていたんです。
ところが2年目で割り当てられた案件が「X社システム刷新プロジェクト」。このクライアントがとにかく手ごわい! 仕様変更を思いつきで連発し、「これ明日までにやれ」「うちの業務ルールが変わったから全体の仕様を変えて」など苛烈な要求をガンガン突っ込んでくる。
上司も最初は「問題あったら都度調整しよう」などと言ってたけれど、いつの間にかクライアントに飲み込まれ、「納期は延ばせないから、とにかくやって」と現場に押し付ける状態。ゆるふわ社内なんて、プロジェクトに入った瞬間に消え去りました。
3. 毎日深夜までエンドレス仕様変更対応
このクライアントは仕様変更を“無償対応”と当たり前のように要求してくるタイプで、上司は契約を守りたいがために断り切れないのか、いつも
「次は本当に最後だから…」
「この案件、失敗したら大打撃だから頑張ろう」
と説得してきます。結果、私たちエンジニア・SE側は夜中までコードを直し、テストを走らせ、翌朝には新バージョンをリリース。休日出勤や徹夜も珍しくなくなり、私の生活リズムは崩壊。
「大手SIerは定時退社OKで、プライベートも充実」という夢はどこへ消えたのやら…。しかも、上層部は「うちはホワイトだよね」と満足げに言い続けるから始末に負えない。プロジェクトさえ出なければホワイトなのかもしれないけど、そこに配属された私には関係ない話でした。
4. クライアントに詰められる恐怖、その“ある出来事”から壊れ始めた
問題のクライアントは、大手小売チェーンのシステム刷新プロジェクト。
最初は「大企業同士だし、落ち着いた進め方ができるでしょ」くらいの気持ちでした。ところがフタを開けてみると、彼らは“納期は明後日、仕様変更は今日中”が当たり前というような無理難題のオンパレード。
いちばん堪えたのが、「こんな当たり前のことも分からないの?」という嘲笑混じりの小声を面と向かって言われた場面です。会議室で会話が止まった瞬間、私が確認不足だった箇所を見つけたクライアントの担当者が、目を泳がせながらも笑って、
「まあ、ゆる〜い会社さんですしね。頭数、足りてないとか?」
とイヤミをブッ込んできたんです。
同僚たちは気づいてない振りをするし、上司は「後でフォローするから」と言いながらどこか上の空。“ゆるふわホワイト”と聞いて入社した会社が、こんな硬直した空気のプロジェクトを抱えてるなんて思わなかった。あのとき、ふとイヤホンから音が聞こえないように“自分だけ異世界に取り残される”感覚になりました。
会議が終わって席を立った瞬間、急に目の前がグラリと歪み、心臓がバクバク。自分で何を言ったかも憶えていない。駆け足でトイレに逃げ込んだら、胃痛がズキンと走って立っていられなくなりました。
その日以来、彼らに会うたびに頭が痛み、帰りの電車では動悸がして涙が止まらない。休日もLINEの着信音がするだけでビクッとしてしまう。どんどん身体がぎこちなくなっていくのを感じました。
5. 「このままじゃ声すら出なくなる」──決定打になった“声が出ない事件”
最終的に私が休職することになったのは、**“声が出なくなる”**という事件が起きたからでした。
ある大規模リリースの前夜、いつも通り徹夜でバグ修正していたんですが、朝9時のクライアント打ち合わせ直前、急にノドが痛んで声がまったく出なくなったんです。咳き込みとかじゃなく、本当に声帯が動かない感じ。
もともと緊張するとノドが詰まるタイプだけど、その日は格段に酷かった。上司が「おい、そろそろ行くぞ?」と呼んでも、私は「あ、」と口を開けたきり何も発せられない。
結局、打ち合わせには出席だけして、うなずきとメモで対応。クライアントの担当者が私を見て、
「また寝てないんじゃないの? なんでそんな仕事の仕方してるの?」
と小馬鹿にした笑いを投げかけてくるのを、黙ってやり過ごすしかありませんでした。
会社に戻ってからの記憶があまりなくて、気づいたら近所の病院で「緊張やストレスによって声が出なくなることがあります。心因性のものかもしれません」と言われました。医師が
「このままじゃ心も体も壊れかねない。しばらく休職を検討しては?」
と深刻な顔で助言した瞬間、肩の力が一気に抜け、「あ、もう限界なんだ」と諦めに近い安堵が広がったんです。
終わりに
会社は確かに“ゆるふわホワイト”のはずでした。実際、定時退社を推奨する部署もあるし、福利厚生だって悪くない。でも、所属部署や担当するクライアントによっては厳しい環境も珍しくないはずです。
「人によっては定時で帰れる」「有給も取れる」——そんな社員が存在する一方で、こうやってクライアントに追い詰められて疲弊していく社員もいるのが大手SIerの現実ではないでしょうか。
SNSやWeb上ではゆるふわJTCと言われることもありますが、あくまでポジショントークだと思います。
就活生は、そのような偏った情報を鵜呑みにせず企業を選んでほしいと思います。
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