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目標は達成しなくてもいい~目標を活用してプロセスを楽しむ~

〇子供の頃からの目標設定

多くの人は、子供の頃から「将来の夢は?」「どんな仕事がしたい?」「どの学校に行きたい?」など、常に目標を立てることを求められてきました。いつも目標を立てることに追われていた感じです。
 
そのため、目標を立てることを避けようとしたり、苦しく感じたり、逆に目標がないことに不安を感じる人がいます。
 
しかし、私自身は「目標は必ずしも達成する必要はない」と考えています。そう考えることで、少しは目標に対する抵抗感が薄れ、自由に楽に目標が立てやすくなるのではないでしょうか。
注)ここでいう目標とは、会社の目標ではなく、人生の目標の意味で使用しています。

〇目標・ゴールを持つことのメリット

まず、目標を持つ意味について考えてみましょう。目標を持つことが絶対に必要かというと、そうではありません。明確な目標がなくても成功している人もいます。
 
しかし、私は目標が自分を成長させ、人生を豊かにするために必要だと考えています。目標を持つことには、次のようなメリットがあるからです。

▶目標を持つことのメリット
・人生の方向性が明確になる
・モチベーションが上がる
・新しいスキルや知識を習得する機会が増える
・進捗状況を把握し、必要に応じて戦略を調整できる
・意義のある目標を達成することで、人生の満足感が高まる
・小さな目標の達成でも自信がつく
・時間管理や自己規律が身につく
・困難に立ち向かう力が養われる

目標の内容によっては、周囲の協力が得られやすくなったり、自分の限界を突破できるなど、さらなるメリットもあるでしょう。

〇目標は達成しなくてもいい理由

では、なぜ目標は達成しなくてもいいのでしょうか。その理由は時間の流れにあります。

以前、「目標には必ず何らかの目的がある」「目標は夢や目的を達成するための通過点や道標である」、と紹介しました。

そして目標は、目的を叶えるために現在から未来の状況を想像して設定するものです。未来の状況を先取りして設定するため、時間の経過とともに状況が変化するのは当然です。状況が変化しているのに、以前立てた目標にこだわるからこそ、逆に自分を苦しめてしまうのではないでしょうか。
 
状況の変化については、大きく「外的要因」と「内的要因」に分けて考えると、考えやすいでしょう。

▶外的要因
他の人の影響:目標の中には、資格試験の合否や競技など順位がでるもの、また他者の動向が大きく影響するものがあります。これらは、どんな人が参加しているのか、参加者の実力や興味関心、あるいは運などに左右されるため、目標達成のために自分がどれだけ頑張っても達成できない場合が生じます。

社会状況の変化:大きな自然災害や社会情勢・経済状況の変化などによって、従来の目標が達成できなくなることがあります。例えば、コロナ禍で社会の様子が一変しました時には、やむなく中止や延期となった目標があっただろうことは、想像に難くありません。

周囲の変化:目標達成に向けて行動する中で、最初は一人でやっていたけれど、家族や仲間の協力が得られるようになり、行動のスピードが上がることもあるでしょう。逆に協力が得られなくなり、ペースダウンせざるを得ないこともあるかもしれません。このような場合、周囲の協力に応じて自分のやるべきことや方向を修正する必要が出てくることもありますね。
 
▶内的要因
高すぎる目標:そもそも最初から達成が難しいと思われる目標を立てると、当然挫折しやすくなります。

本心ではやりたくない目標:目標を立てても、本心ではやりたくない・興味がないと感じている場合があります。このような場合は、当然モチベーションが続かず、達成が難しくなります。

成長速度の違い:成長が予想より速かったり遅かったりすると、目標を再設定する必要が出てきます。成長が速ければ目標を高めに設定し直したり、ゴさらにその先に新しい目標を設定することができます。逆に前に進まない場合は、ペースダウンしたり、違う道を模索する必要が出てくるでしょう。

興味の変化:目標達成に向けて行動していると、興味が変化することがあります。ある程度達成したからこそ、従来とは違う景色が見えてきて、選択の幅が広がるということですね。

このように、目標達成に向けて行動する中で「達成したくてもできない」「達成する必要がなくなる」「自分にとってもっと良い目標が見つかる」ことがあるのです。
 
これに対応するには、状況の変化を感じたならば従来の目標にこだわるだけでなく、新しい目標を設定し直すことが必要です。 

〇目標達成のための行動は無駄なのか

では、目標に向けて行動したことは無駄になるのでしょうか?決してそんなことはありません。目標に向けて行動することで自身が成長し、多くのベネフィット(恩恵)が得られるからです。

行動による成長とベネフィットの関係については、下の図のように考えられます。

最終的なゴールに向けて、途中の道標・通過点として目標A~Dを設定します。ゴール地点を100%と考え、目標Aでは20%、目標Dでは80%の進捗率と考えます。

このときの面積が、行動することによって得られた成長であり、ベネフィットであると考えることができます。

ベネフィットは目標の内容や努力の質・量によって異なりますが、代表的なものとして、次のようなものが考えられるでしょう。
 
▶行動することで得られるベネフィット
・行動する道のりで、共感してくれる人や仲間、協力者と出会える
・その道のりで知識や能力が増え、より価値ある人間になれる
・目標や行動計画を立てることで、選択力や決断力が増す
・課題をクリアしていくことの達成感が得られる
・自分の可能性に気づき、想像以上の自分になれる
・失敗の経験から次の成功のためのリソースを手に入れられる

〇目標を活用して、もっと自由に行動を

目標は、自分を成長させ、人生を豊かにするためのツールです。目標は最後までやり遂げるに越したことはありませんが、絶対に達成しなければいけないわけではありません。目標はいつでも再設定していいのです。
 
また、時間の経過とともに状況は変化するので、最終的な結果はコントロールできません。しかし、ゴールに至るプロセスは自分で選ぶことができます。だから、プロセスに全力を尽くしてベネフィットを手に入れ、最終的な結果は神に委ねるのです。
 
目標は達成するかしないかの結果論だけでなく、ゴールに至るプロセスが重要なのです。そして、そのプロセスで何が得られるのかを考え、行動を促進させるツールでもあるのです。こう考えれば、目標達成に固執して苦しむのではなく、もっと自由に、もっと楽しく行動できるようになるのではないでしょうか。

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