就活は成長へのプロセス〜「不採用」が怖く無くなるメソッド〜
キャリアの自由研究をいつもお読み頂いている皆さま
遅くなりましたが…
あけましておめでとうございます!2024年がスタートしましたね(^^)
このnoteの記事投稿も2年目を迎えました。自分自身の研鑽と、皆さまにとっての学び(というとおこがましいですが)、そのきっかけになれれば嬉しいなと思い、それを目指して今年も頑張って文章を書いていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回のテーマ
さて、新年1発目の投稿は大学生の就職活動に関するものです。
年が明けて、1月後半になると大学生の授業も終わりはじめるころ。
それにあわせて就職活動もより活発期へと移行していきます。これから就職活動を始める学生の皆さんに、そして人事担当者の方々にもお読み頂けたら嬉しいです!
自由研究した研究論文はこちら
今回ご紹介する研究論文は、「大学生の就職活動維持過程モデルの検討 : 不採用経験に着目して」というタイトルで、輕部雄輝らが2014年に発表した論文です。辛く、長く、険しい道である就職活動をどうやって続けていくことができるのか、という研究です。
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/32614
就職活動のスケジュール、ご存知ですか?
政府から経済団体へ「要請」という形で定まった、「就活ルール」。
3年生の3月に広報活動の解禁、そして、年度をまたいで、4年生の6月に面接活動の解禁、となっています。
「3・6就活」なんて言い方がされることもあります。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/index.html
「え?1月後半の大学・授業の終わりにあわせて就活が動き始めるっていいましたよね!?」という声が聞こえてきそうです…。
そうなんです、確かにその通りなんです。実際このルールは経団連に属する大手の企業は守っているようですが、属さないベンチャー企業・中小企業・外資系企業などはこのルールを気にせず採用活動をしており、一部の動き出しが早い企業は11月、12月から採用活動を始め、年内に内定を出す企業もあるようです。
後ろ倒しによって生まれた早期化・長期化
大手の企業はルールを守って3・6就活と遅めのスタート、
経団連に属さない企業は例年通りのスケジュール、
結果的に学生の就活期間はどんどん長くなっていきました。
そして、少子化の影響で年々採用がし辛くなってきていて、
「じゃあもっと早く採用活動を早めよう、夏のインターンシップ、秋冬のインターンシップと積極的に採用活動をしよう」となり、ますます学生の就職活動は「早期化・長期化」していったと言われています。
就職白書のデータを見ると、活動期間の平均が2019年卒の学生は6.2ヶ月ですが、2023年卒になると8.36ヶ月となっており、この数年の間で2ヵ月近くも活動期間が増えたようです。
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2023/04/hakusyo2023_furikaeri_01-24.pdf
学生の悩み&アドバイス
そうなると、学生の皆さんからは、
・就職活動を続けていくのが辛い
・辞め時が分からない
という相談があとをたちません。
就活を続けていると、当然ですが、不採用のたびに落ち込むことがよくあります。運よく内定をもらえたとしても、本当にこの会社で良いのか?就活をやめて良いのか?決断できず、ずるずる続けてしまい、内定はもらえるけど納得できずに続けてしまう…。
ーーそんな若者がいたら、皆さんはどうアドバイスされますか?
こんな相談があると、いつも私は就職活動自体を
「成長のプロセスと捉えよう」とアドバイスします。
就職活動では、社会人生活のなかで求められる能力を、採用選考のなかで試されています。書く、話す、聴くといった基本的なコミュニケーションスキルを書類選考、面接、グループディスカッションで試されているわけです。
選考のなかで失敗したり、落ち込んだりしながら、みんな試行錯誤を繰り返し、能力を高めて(成長して)社会に出ていく準備をしていると考えます。
残念ながら、まだ内定を得られていないのは、ちょっと準備が足りていないのかもしれない。活動の終了を決められないのは、成長しきれていないと不安なのかもしれない。そんな問いかけをしながら、継続に向けて励ましたり、決断をサポートしたりています。
研究論文を紐解く
うーん、でもそのアドバイスは私の精神論のような気もしてきます。
あのコメンテーターの方がいたら「それってあなたの感想ですよね?」と言われそう(笑)。そこで、そんな時に対処の裏付けになるのが研究論文です。
輕部ら(2014:p10)の研究では、就職活動を続けていくためのモデルを
MGTAという分析手法で、聞き取り調査の結果を明らかにしています。
ぜひ本文に掲載されているfigure1・table5をご覧ください。
不採用となったとき、一次的過程の①~④の行動を繰り返していき、その中で⑤⑥を行います。そして、何度か経験していくなかで二次的過程のゾーンに移行していき、⑦~⑨を行い、成功に近づいていくと考えられます。
イメージとしては、一次的過程はわりと表面的な振り返りで、二次的過程はより本質的な問いかけに変わっていきます。それは、問いかけのなかで、飾らないありのままの自分が見えてきたり、働くことの目的が自分中心でなく相手が見えてきたりするようです。
一次的過程のループを繰り返すけど、あるとき、二次的過程の自問がやってきて、二次的過程のゾーンに移行していくようです。
それがいつ・どうやって訪れるのかは人それぞですが、振り返りのなかで失敗の繰り返しから、成功への変化が生まれていきます。
不採用の通知を受け取ると、ショックを受けることから始まり、立ち直ってまた行動をし始める。くり返し経験することで、自分についての自問が行われ、自分らしさが確立していき、本当の意味での準備が行われていく、そんなイメージです。
私はここに「成長プロセス」があるのではと感じました。
失敗を重ねて成長をしていき、最終的に自分らしさに辿り着き自信を得ていく。そうすることで精神的にも強くなり内定を得るまで就職活動を続けることができる。そして、この「成長感」が生まれるからこそ就職活動を終える、なにかこう自分のなかの達成感や妥当感につながり終える決断ができるようになるのです。
なんとなく活動をして、なんとなく不採用や失敗を乗り越えて、なんとなく内定をもらってしまうと、逆に「終わっていいのか?」と迷い・悩みが生まれるのでしょう。
こうやって自分の就職活動を振りかえり、成長プロセスを実感できることが大事なのではないでしょうか。
これから始まる就職活動では、きっと学生のみなさんにたくさんの不採用・失敗が訪れます。最初はただただ落ち込んでしまうと思いますが、自分の失敗プロセスを言語化して、しっかりと成長に向かっていってください。
そして、人事担当者の方も内定を出したけど将来に迷える学生がいらっしゃったら、ぜひその学生の就職活動を一緒に振り返って頂き、成長プロセスにフィードバックをして頂けるといいなと思います。
<参考文献>
・輕部雄輝、佐藤純、杉江征(2014)「大学生の就職活動維持過程モデルの検討:不採用経験に着目して」筑波大学心理学研究、48巻、p71-85
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